第六十五花「広がる反響と先生のひとこと」
私は染井 芳乃!
城津 芽草ちゃんと星咲 睡蓮さんと糸刃 翔ちゃんと花森 菫ちゃんと顧問の風信子 桃花先生と黒百合 リリィちゃんといっしょに太陽女学院でゲーム開発部をしています!
私と芽草ちゃんはシナリオ、睡蓮さんはプログラム、翔ちゃんはイラスト、菫ちゃんはサウンド、リリィちゃんはデバッガーで、頑張っています!
◆ 放課後・廊下
「ねぇ、これやってみようよ!」
「さっきの子が面白いって言ってたやつでしょ?」
掲示板の前は、さっきよりもずっと賑やかになっていた。
「わ……人、増えてる」
私は思わず声を漏らす。
「ええ、口コミね」
芽草ちゃんが落ち着いた声で言う。
◆
「……すごい」
翔ちゃんがぽつりと呟く。
「こんなに……見てくれる人、いるんだ」
「嬉しいですね」
菫ちゃんも静かに微笑む。
◆
「順番にどうぞー!」
私は簡易的に列を整理する。
「一人ずつ遊べますので!」
「はい!」
「楽しみ!」
◆
次々とプレイヤーがゲームを触る。
「このキャラかわいい!」
「え、ここ分岐するの!?」
「音いいね!」
「この展開好きかも!」
◆
「……メモ、追いつかないです……!」
リリィちゃんが必死にノートを書いている。
「反応、多すぎる……!」
「いいことよ」
芽草ちゃんが優しく言う。
「それだけ見てもらえている証拠」
◆
「ここ、少しテンポ遅いかも」
「でも最後よかった!」
「ありがとうございます!」
私は笑顔で答える。
◆
その時――
「あら、賑やかね」
聞き慣れた声。
「先生!」
振り返ると、風信子 桃花先生が立っていた。
◆
「ちょっと見に来たら……これはすごいわね」
先生は掲示板と人だかりを見て、目を細める。
「あなたたち、やったじゃない」
「えへへ……!」
◆
「先生もやってみます?」
私が聞くと、
先生は少しだけ驚いた顔をした。
「いいの?」
「もちろんです!」
◆
「じゃあ、お言葉に甘えて」
先生が端末の前に座る。
「先生、初プレイです」
菫ちゃんが小さく呟く。
◆
ゲームが始まる。
静かな時間。
先生は何も言わずに進めていく。
選択肢も、迷いながら選ぶ。
◆
そして――
エンディング。
画面が暗転し、余韻が残る。
◆
「……」
先生は少しの間、何も言わなかった。
「……先生?」
私は少し不安になる。
◆
「いい作品ね」
ぽつりと、先生が言った。
「ちゃんと“気持ち”が伝わってくる」
◆
「……っ!」
私は思わず息を飲む。
「それに」
先生は続ける。
「ちゃんと“チームで作った作品”になってる」
◆
「シナリオも、絵も、音も、動きも」
「全部がバラバラじゃなくて、ひとつにまとまってる」
「それって、簡単なことじゃないのよ」
◆
「だから――」
先生は優しく微笑む。
「胸を張りなさい」
「あなたたちの作品よ」
◆
「……はい!」
私は大きく頷く。
◆
「ありがとうございます」
芽草ちゃん。
「……うれしい」
翔ちゃん。
「光栄です」
睡蓮さん。
「……よかった」
菫ちゃん。
「安心しました……!」
リリィちゃん。
◆
その後も、
試遊は続く。
笑い声と、感想と、
新しい気づき。
◆
「ねぇ」
私は小さく呟く。
「もっと、良くできる気がする」
「ええ」
芽草ちゃんが頷く。
「ここからさらに磨いていきましょう」
◆
先生も静かに見守る。
「まだ、成長できるわよ」
◆
広がる反響。
そして、新たな課題。
◆
――完成は、終わりじゃない。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




