第六十四花「はじめてのプレイヤー」
私は染井 芳乃!
城津 芽草ちゃんと星咲 睡蓮さんと糸刃 翔ちゃんと花森 菫ちゃんと顧問の風信子 桃花先生と黒百合 リリィちゃんといっしょに太陽女学院でゲーム開発部をしています!
私と芽草ちゃんはシナリオ、睡蓮さんはプログラム、翔ちゃんはイラスト、菫ちゃんはサウンド、リリィちゃんはデバッガーで、頑張っています!
◆ 放課後・廊下の掲示板前
「……じゃあ、やってみます」
さっき声をかけてくれた生徒が、少し緊張した顔で言った。
「うん!」
私は端末を起動する。
「ここ、タップで始まるよ!」
◆
画面が光る。
静かに、音が流れ始める。
「……かわいい」
プレイヤーの子が小さく呟く。
「キャラ、動くんですね」
「うん!私たちで作ったの!」
私は少し誇らしい気持ちで言う。
◆
「ここ、選択肢……?」
「そう!物語が変わるよ!」
芽草ちゃんが横で補足する。
「なるほど……」
◆
タップ。
画面が切り替わる。
「わ……!」
「変わった……!」
プレイヤーの目が少し大きくなる。
◆
「このキャラ、好きかも」
ぽつりと出た言葉。
私は思わず芽草ちゃんを見る。
芽草ちゃんは、静かに小さく頷いた。
「……成功ね」
◆
その後も、少しずつプレイが続く。
笑ったり、迷ったり、
画面に反応しながら進んでいく。
「これ、面白いですね」
「ほんとに学生が作ったんですか?」
「すごい……」
◆
その言葉が、少しずつ増えていく。
私は胸の奥がじんわり温かくなるのを感じた。
◆
「どうだった?」
私は思わず聞いた。
「えっと……」
少し迷ってから、
その子は笑った。
「楽しかったです」
◆
その一言で、
全部が報われた気がした。
「……っ」
私は思わず笑ってしまう。
「やったぁ!」
◆
芽草ちゃんが静かに言う。
「最初のプレイヤーね」
「うん!」
◆
そこへ、
部室から他のメンバーもやってくる。
「どうでした?」
睡蓮さん。
「反応、気になります」
リリィちゃん。
「音、どうでしたか?」
菫ちゃん。
「……興味深い」
翔ちゃん。
◆
「みんな!」
私は振り返る。
「ちゃんと届いたよ!」
◆
その言葉に、
みんなの表情が少しだけ和らぐ。
「そう……」
芽草ちゃんが静かに言う。
「第一歩ね」
◆
夕方の光が廊下に差し込む。
掲示板の前には、
少しずつ人が集まり始めていた。
◆
――誰かに届くということは、
もう始まっているということ。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




