第六十二花「完成直前、最後のひと押し」
私は染井 芳乃!
城津 芽草ちゃんと星咲 睡蓮さんと糸刃 翔ちゃんと花森 菫ちゃんと顧問の風信子 桃花先生と黒百合 リリィちゃんといっしょに太陽女学院でゲーム開発部をしています!
私と芽草ちゃんはシナリオ、睡蓮さんはプログラム、翔ちゃんはイラスト、菫ちゃんはサウンド、リリィちゃんはデバッガーで、頑張っています!
◆ 十月・放課後・部室
「……よし」
私はゆっくりと画面から目を離した。
「ひと通り、全部つながった」
「確認しましょう」
睡蓮さんが静かに言う。
◆
「通しプレイ、ね」
芽草ちゃんが椅子に座り直す。
「最初から最後まで、一度全部見るわよ」
「うん!」
◆
「……お願い」
翔ちゃんが少し身を乗り出す。
「……音、流します」
菫ちゃんがヘッドホンを準備する。
「……チェック、します」
リリィちゃんがノートを開く。
◆
カチッ
ゲームが起動する。
◆
最初の画面。
ゆっくりと流れる音楽。
キャラクターたちが動き出す。
「……」
誰も喋らない。
ただ、見守る。
◆
会話。
選択肢。
分岐。
「あ……ここ」
私は思わず小さく声を出す。
「どうしたの?」
「ちょっとテンポ遅いかも」
「メモしておきます」
◆
「……ここ、いい」
翔ちゃんがぽつり。
「表情、合ってる」
「よかった……」
◆
「音、問題ありません」
菫ちゃんが頷く。
「ちゃんと感情に合ってる」
◆
「バグなしです……!」
リリィちゃんが少し嬉しそうに言う。
「このルートは問題ありません」
「いい調子ね」
◆
そして――
最後のシーン。
静かな音。
ゆっくりと流れる言葉。
そして、余韻。
……暗転。
◆
「……」
少しの沈黙。
「……いい」
翔ちゃんがぽつりと呟く。
「うん……」
私は小さく頷く。
「余韻、ちゃんと残ってる」
◆
「ええ」
芽草ちゃんも静かに言う。
「いい終わり方よ」
◆
「音も、きれいに消えました」
菫ちゃん。
「演出も問題ありません」
睡蓮さん。
「バグもありません……!」
リリィちゃん。
◆
「……できたね」
私はぽつりと呟く。
「ええ」
芽草ちゃんが頷く。
「完成よ」
◆
一瞬、静かになる。
そして――
「やったぁぁぁ!!」
私は思いっきり叫んだ。
「……やった」
「おめでとうございます」
「完成、です」
「すごい……!」
◆
「ほんとに……できたんだ」
私は少しだけ目を細める。
「最初は、何もなかったのに」
「積み重ねてきた結果よ」
芽草ちゃんが言う。
◆
「……楽しかった」
翔ちゃんが小さく呟く。
「ええ」
「とても」
「音、作れてよかった」
「役に立てて……嬉しいです」
◆
「でも」
私は顔を上げる。
「ここで終わりじゃないよね?」
「ええ」
芽草ちゃんが頷く。
「ここからが“届ける”段階」
◆
「誰かに遊んでもらって」
「感想をもらって」
「次に繋げる」
「……うん!」
◆
「よし!」
私は拳を握る。
「次は“届ける”よ!」
「ええ」
「……うん」
「準備、進めます」
「音も調整します」
「最終チェックします……!」
◆
夕日が部室を染める。
完成したゲーム。
そして、その先へ。
◆
――ゴールは、スタートになる。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




