第六十一花「迷い道とヒントのかけら」
私は染井 芳乃!
城津 芽草ちゃんと星咲 睡蓮さんと糸刃 翔ちゃんと花森 菫ちゃんと顧問の風信子 桃花先生と黒百合 リリィちゃんといっしょに太陽女学院でゲーム開発部をしています!
私と芽草ちゃんはシナリオ、睡蓮さんはプログラム、翔ちゃんはイラスト、菫ちゃんはサウンド、リリィちゃんはデバッガーで、頑張っています!
◆ 十月・放課後・部室
「うーん……」
私は腕を組んで唸っていた。
「どうしたの?」
芽草ちゃんが顔を上げる。
「最後のシーン……なんか、しっくりこなくて」
「どこが?」
◆
「ここ」
ノートを見せる。
「終わり方が、なんか普通すぎる気がする」
「……なるほどね」
芽草ちゃんは少し考える。
◆
「確かに、悪くはないけど」
「“印象に残る終わり”ではないかもしれないわね」
「やっぱり……」
◆
「……余韻、足りない」
翔ちゃんがぽつりと言う。
「余韻?」
「終わったあと、残るもの」
「……あ」
◆
「音でも補強できます」
菫ちゃんが続ける。
「最後、少しだけ音を残すとか」
「フェードアウト、長めにするとか」
「なるほど……!」
◆
「演出的にも」
睡蓮さんが画面を見ながら言う。
「画面をすぐ切り替えるのではなく、少し“間”を置くといいかもしれません」
「間かぁ……」
◆
「……あと」
リリィちゃんが小さく手を挙げる。
「プレイヤー的には……」
「うん?」
「“選んだ結果”がちゃんと感じられると、印象に残ると思います」
「おお……!」
◆
「みんなすごい……」
私は思わず呟く。
「こんなにいろいろ考えられるんだ」
「一人じゃ見えないものもあるわ」
芽草ちゃんが言う。
「だからチームなのよ」
◆
「よし……!」
私はペンを握る。
「ちょっと書き直してみる!」
「ええ」
「……がんばって」
「楽しみです」
「音、合わせます」
「確認します……!」
◆
カリカリカリ……
さっきより慎重に、
言葉を選ぶ。
「……できた!」
「見せて」
みんなで確認する。
「……いいわね」
芽草ちゃんが静かに頷く。
「余韻、出てる」
「……うん」
翔ちゃんも小さく頷く。
「音、合いそう」
「演出も調整できます」
「バグも問題なさそうです……!」
◆
「やった……!」
私はほっと息をつく。
「これで、最後のピースがはまった感じする!」
◆
「完成が見えてきたわね」
芽草ちゃんが言う。
「うん!」
◆
窓の外は、すっかり夕焼け。
オレンジ色の光が部室を染める。
「ねぇ」
私は小さく言う。
「ここまで来たんだね、私たち」
「ええ」
◆
「最初は部員もいなくて、廃部寸前だったのに」
「今はちゃんとゲーム作ってる」
「……不思議」
翔ちゃんがぽつり。
「でも」
菫ちゃんが続ける。
「ちゃんと積み重ねてきた結果」
「はい……!」
リリィちゃんも頷く。
◆
「よし!」
私は立ち上がる。
「最後まで、やりきろう!」
「ええ」
「……うん」
「全力で」
「いい音にします」
「バグ、見逃しません……!」
◆
静かに、でも確実に。
完成へ向かう時間。
◆
――迷いの先に、答えはある。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




