第五十八花「朝のひとときと、ちょっとした変化」
私は染井 芳乃!
城津 芽草ちゃんと星咲 睡蓮さんと糸刃 翔ちゃんと花森 菫ちゃんと顧問の風信子 桃花先生と黒百合 リリィちゃんといっしょに太陽女学院でゲーム開発部をしています!
私と芽草ちゃんはシナリオ、睡蓮さんはプログラム、翔ちゃんはイラスト、菫ちゃんはサウンド、リリィちゃんはデバッガーで、頑張っています!
◆ 二学期・朝・教室
「ふわぁ……」
大きなあくびが出る。
「眠そうね」
芽草ちゃんがくすっと笑う。
「ちょっとだけ……昨日、ついゲームしちゃって……」
「ほどほどにしなさいよ?」
「はーい……」
◆
窓から朝の光が差し込む。
少しひんやりした空気。
「秋って感じだね」
「ええ」
芽草ちゃんが頷く。
「空気が澄んでるわ」
◆
「ねぇ」
私はふと思い出す。
「最近さ、ゲーム作りちょっと変わってきた気がする」
「どういう意味かしら?」
◆
「最初はさ、“作るだけ”って感じだったけど」
「今は“どう見えるか”とか“どう感じるか”とか、考えるようになったっていうか……」
「……成長ね」
芽草ちゃんが微笑む。
◆
「それは大事なことよ」
「作品は、“体験”だから」
「体験……」
「ええ」
◆
「プレイヤーがどう感じるかを考えるのが、ゲーム作りの本質」
「……難しいけど、面白い」
「うん!」
◆
「おはよー」
教室に入ってくるクラスメイトたち。
ざわざわと賑やかになる。
◆
「今日も一日頑張ろうね」
「ええ」
◆
◆ 放課後・部室
「おはよー!」
私は勢いよく扉を開ける。
「おはようございます」
すでに睡蓮さんがいた。
「早いね!」
「少し作業を進めていました」
「さすが……!」
◆
「……来た」
翔ちゃんがひょこっと顔を上げる。
「おはよ!」
◆
「今日は、どこ進める?」
私は机に座りながら聞く。
「シナリオの分岐部分をもう少し詰めましょう」
芽草ちゃんがノートを開く。
「あと、演出との連携も確認したいです」
睡蓮さん。
◆
「音も、少し修正したい」
菫ちゃんが言う。
「この前のシーン、ちょっとだけ違和感ある」
「了解!」
◆
「……バグも、少し」
リリィちゃんが小さく手を挙げる。
「見つけたの?」
「はい……」
「選択肢のあと、挙動が少しおかしいです」
「よし、それも直そう!」
◆
「みんな、やることはっきりしてるね」
私は笑う。
「ええ」
「……役割」
「分担できてる」
「効率もいいです」
「いいチーム」
「はい……!」
◆
カタカタ……
今日も部室に作業音が響く。
でも――
どこか前よりも、
動きがスムーズになっている。
◆
「……あ」
私はふと気づく。
「なんかさ」
「みんな、言わなくても動けてる」
「そうね」
芽草ちゃんが頷く。
「チームとして完成してきてる証拠よ」
◆
「……いい感じ」
翔ちゃんが小さく呟く。
「ええ」
「とても」
「音も、合わせやすい」
「デバッグも、効率いいです……!」
◆
「そっか……」
私は少しだけ嬉しくなる。
「最初はバラバラだったのに」
「今はちゃんと“チーム”だね」
◆
「ええ」
芽草ちゃんが静かに言う。
「“私たちのゲーム”を作ってる」
◆
夕日が部室に差し込む。
それぞれの机。
それぞれの役割。
でも――
向いている先は、同じ。
◆
「よし!」
私は立ち上がる。
「今日もいい感じ!」
「ええ」
「……うん」
「順調です」
「いい音、できそう」
「バグも減ってきました……!」
◆
「このままいこう!」
◆
――少しずつ、確かな形になっていく。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




