第五十五花「雨音と作業日和」
私は染井 芳乃!
城津 芽草ちゃんと星咲 睡蓮さんと糸刃 翔ちゃんと花森 菫ちゃんと顧問の風信子 桃花先生と黒百合 リリィちゃんといっしょに太陽女学院でゲーム開発部をしています!
私と芽草ちゃんはシナリオ、睡蓮さんはプログラム、翔ちゃんはイラスト、菫ちゃんはサウンド、リリィちゃんはデバッガーで、頑張っています!
◆ 二学期・放課後・部室
ザー……ザー……
窓の外では、しとしとと雨が降っていた。
「今日は、けっこう降ってるね」
私は窓の外を見ながら呟く。
「ええ、帰る頃にはもう少し強くなるかもしれないわね」
芽草ちゃんが言う。
「……雨、嫌いじゃない」
翔ちゃんがぽつり。
「集中、できる」
「あ、それちょっとわかるかも」
◆
「雨音にはリラックス効果がありますからね」
睡蓮さんが静かに言う。
「一定のリズムが脳に安定をもたらします」
「へぇ〜……」
「音としても、面白いです」
菫ちゃんが窓のほうを見る。
「この音、ゲームにも使えそう」
「環境音としては優秀ね」
◆
「……録音してみる?」
私はふと思いついて言う。
「え?」
「この雨の音、ゲームで使えたらリアルじゃない?」
一瞬の沈黙。
「……いい案」
翔ちゃんが頷く。
「自然音、強い」
「確かに」
菫ちゃんも目を少し輝かせる。
「ちょっと試してみます」
◆
窓を少し開ける。
ザー……
さっきよりはっきりと聞こえる雨音。
「録音開始」
部室の中が静かになる。
誰も喋らない。
ただ、雨の音だけが響く。
◆
「……こんな感じでどうでしょう」
録音を再生する。
「おお……」
「いい」
「落ち着く……」
「雰囲気、出てる」
「……使えそう」
◆
「こういうのも、ゲーム作りだね」
私は少し嬉しくなって言う。
「ええ」
芽草ちゃんが頷く。
「日常の中にあるものを拾って、作品にする」
「それが“表現”よ」
◆
「じゃあ今日は、このまま作業しよっか」
「ええ」
「……集中」
「はい」
「音、まとめます」
「バグチェックも続けます……!」
◆
雨音の中、
それぞれが作業に戻る。
カタカタとキーボードの音。
カリカリとペンの音。
そして、外の雨音。
全部が混ざって、
不思議と心地いい空間になる。
◆
「……ねぇ」
私は小さく言う。
「こういう日も、いいね」
「ええ」
「……好き」
「落ち着きます」
「音、綺麗」
「集中できます……!」
◆
雨の日。
どこにも行かない日。
でも――
ちゃんと進んでいる日。
◆
「よし、今日はここまでにしましょう」
芽草ちゃんが区切りをつける。
「はーい!」
「……うん」
「はい」
「お疲れ様です」
「帰り、気をつけてくださいね」
◆
外に出ると、
まだ雨は降っていた。
でもさっきより少しだけ弱くなっている。
「傘、ある?」
「大丈夫!」
「……ある」
「はい」
「持ってます」
「わ、私は……あります!」
◆
雨の中、歩き出す。
ぽつ、ぽつ、と水たまりを避けながら。
今日の雨音も、
きっとゲームの中に残る。
◆
――日常は、素材でできている。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




