第五十一花「最初のレビューと、次の一歩」
私は染井 芳乃!
城津 芽草ちゃんと星咲 睡蓮さんと糸刃 翔ちゃんと花森 菫ちゃんと顧問の風信子 桃花先生と黒百合 リリィちゃんといっしょに太陽女学院でゲーム開発部をしています!
私と芽草ちゃんはシナリオ、睡蓮さんはプログラム、翔ちゃんはイラスト、菫ちゃんはサウンド、リリィちゃんはデバッガーで、頑張っています!
◆ 公開から数日後・部室
「……来てる」
パソコンの画面を見つめながら、私は固まっていた。
「何が?」
芽草ちゃんがのぞき込む。
「レビュー……!」
その一言で、部室の空気が一瞬で張りつめた。
「……ついに」
「来ましたね」
「……こわい」
「ドキドキします……」
「開いてください、芳乃さん」
睡蓮さんの一言に背中を押されて、
私はゆっくりとクリックした。
◆
「『ストーリーがとても良かったです。キャラクター同士の掛け合いが自然で、最後まで楽しく遊べました』……!」
「……!」
「え、すご……!」
「本当ですか……?」
「……よかった」
一気に空気がやわらぐ。
「ほかにもある!」
「『音楽が印象的で、場面ごとの雰囲気がしっかり伝わってきました』!」
「……っ!」
菫ちゃんが目を見開く。
「『イラストが可愛くて好きです』!」
「……へへ」
翔ちゃんが小さく笑う。
「『バグも少なくて遊びやすかったです』!」
「当然です」
リリィちゃんが少し誇らしげに言う。
◆
「……よかった」
私は、もう一度そう呟いた。
「ちゃんと、届いてる」
私たちが作ったものが、
誰かに届いている。
それがこんなに嬉しいなんて、
思っていなかった。
◆
「でも」
芽草ちゃんが冷静に言う。
「良いものばかりじゃないわよ」
「え?」
「……これ」
表示されたレビューのひとつ。
「『途中で少しテンポが悪く感じた』」
「……あ」
「『もう少し選択肢があれば良かった』」
「……うん」
「『システム面で少し不便なところがあった』」
「……なるほど」
◆
「……どう思う?」
芽草ちゃんが私を見る。
私は少し考えてから――
「悔しい、かな」
正直に答えた。
「でも」
「うん」
「次、もっと良くできるってことだよね!」
少しだけ笑って言う。
◆
「ええ」
芽草ちゃんも微笑む。
「改善点が見えるってことは、前に進めるってこと」
「具体的に分析しましょう」
「……うん」
「テンポ改善、やる」
「音のバリエーションも増やしたいです」
「イラストももっと……!」
「デバッグ体制も強化します」
みんなの声が、次へ向いていく。
◆
「……ねぇ」
私はふと口にする。
「次のゲームさ」
「うん?」
「もっとすごいの、作ろうよ」
少しの沈黙。
そして――
「……ええ」
「やる」
「もちろんです!」
「うん!」
「全力でいきましょう」
◆
桃花先生が静かに笑っていた。
「いい顔してるわね、みんな」
「最初の作品を終えた人の顔じゃないわ」
「次を作る人の顔よ」
◆
窓の外では、
夏がまだ続いている。
でも――
私たちはもう、
その先を見ていた。
◆
レビューは、終わりじゃない。
次へのヒント。
そして、
新しい物語の始まり。
◆
――ゲーム開発部、次回作へ
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




