第五十花「はじまりのエンドロール」
私は染井 芳乃!
城津 芽草ちゃんと星咲 睡蓮さんと糸刃 翔ちゃんと花森 菫ちゃんと顧問の風信子 桃花先生と黒百合 リリィちゃんといっしょに太陽女学院でゲーム開発部をしています!
私と芽草ちゃんはシナリオ、睡蓮さんはプログラム、翔ちゃんはイラスト、菫ちゃんはサウンド、リリィちゃんはデバッガーで、頑張っています!
◆ 夏休み・部室(翌日)
「……本当に完成したんだよね」
私はパソコンの画面を見ながら、まだ少し信じられない気持ちで呟いた。
そこには、タイトル画面。
そして――
「最終版」と書かれたデータ。
「ええ」
芽草ちゃんが静かに頷く。
「間違いなく、完成よ」
「公開準備も整っています」
睡蓮さんが続ける。
「……押すだけ」
翔ちゃんがぽつりと言う。
「お、押すだけ……!」
リリィちゃんが少し緊張した様子で画面を見る。
「なんだかドキドキしますね……」
「うん……」
菫ちゃんも小さく頷く。
◆
「じゃあ……」
私は深呼吸する。
みんなで作ったゲーム。
夏の全部を詰め込んだ作品。
「いくよ?」
「ええ」
「……うん」
「はい……!」
「お願いします」
みんなの声を背に、
私は――
公開ボタンを押した。
◆
「……」
一瞬の沈黙。
「……公開、完了しました」
睡蓮さんが静かに言う。
「……できた」
「やった……!」
「公開……!」
「ついに……」
じわじわと実感が湧いてくる。
◆
「ねぇ」
私は小さく言う。
「これでさ」
「うん?」
「誰かが遊んでくれるんだよね」
「ええ」
芽草ちゃんが答える。
「私たちの知らない誰かが」
「このゲームを見て、触って、感じる」
「……そっか」
胸の奥が、少しだけ熱くなる。
◆
「感想、来るかな……」
「きっと来るわ」
「……楽しみ」
「緊張します……」
「どんな反応でも、次に活かせます」
「うん」
未来が少しだけ開けた気がした。
◆
「ところで」
芽草ちゃんがふっと笑う。
「エンドロール、見た?」
「え?」
「まだ!」
「……見よう」
ゲームを起動する。
そして――
エンディングへ。
◆ エンドロール
画面に、名前が流れる。
シナリオ:染井 芳乃/城津 芽草
プログラム:星咲 睡蓮
イラスト:糸刃 翔
サウンド:花森 菫
デバッグ:黒百合 リリィ
「……わぁ」
私は思わず声を漏らす。
「ちゃんと……載ってる」
「当たり前でしょ」
芽草ちゃんが少し照れくさそうに言う。
「でも……なんか……」
言葉にならない。
ただ、
「嬉しい……!」
それだけは、はっきりしていた。
◆
「これが、私たちの最初の作品ね」
「……うん」
「最初の、ね」
その言葉に、
みんなが少しだけ笑う。
◆
「次はどうする?」
「新作、作る?」
「……やる」
「もっと良くしたいです!」
「次は違うジャンルもいいかも」
「技術的にも挑戦できます」
もう次の話をしている。
◆
私は窓の外を見る。
夏の空。
まだ終わらない、青。
「ねぇ」
「ん?」
「ゲーム作るのってさ」
「うん」
「めちゃくちゃ楽しいね!」
少しの間のあと――
「……ええ」
「うん」
「はい!」
「楽しい」
「その通りです」
みんなの声が重なる。
◆
こうして、
私たちの最初のゲームは完成して、
世界に出た。
でも――
これは終わりじゃない。
“はじまり”だ。
◆
――次の物語へ。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




