第四十二話「静かな机と、にぎやかな頭の中」
私は染井 芳乃!
城津 芽草ちゃんと星咲 睡蓮さんと糸刃 翔ちゃんと花森 菫ちゃんと顧問の風信子 桃花先生と黒百合 リリィちゃんといっしょに太陽女学院でゲーム開発部をしています!
◆ 星咲 睡蓮の屋敷・一室(夕方)
「……広い」
私は思わずそう呟いた。
部屋は勉強会のために整えられていて、机がいくつも並んでいる。
窓の外には整えられた庭が見えて、静かに風が揺れていた。
「落ち着く環境は大事ですから」
星咲 睡蓮さんが淡々と言う。
「期末テスト前ですし、集中できるようにしました」
「すごすぎる……」
「まるで図書館みたいね」
城津 芽草ちゃんが感心したように周りを見渡す。
「……勉強、苦手」
糸刃 翔ちゃんは早くも机に突っ伏しそうになっている。
「まだ始まってないよ!?」
黒百合 リリィちゃんはすでにノートを広げていた。
「まず範囲整理からですね……」
「早い……!」
花森 菫ちゃんは静かにペンを回しながら考えている。
「音楽の理論は、ちょっと得意かも」
「それテストに関係あるのかな……?」
◆ 勉強開始
「では、時間を区切って進めましょう」
睡蓮さんが時計を見ながら言う。
「まずは国語からです」
「うっ……」
私は思わず声が出た。
「芳乃ちゃん、苦手なの?」
「うん……文章読むのは好きなんだけど問題が……」
「ふふっ、じゃあ教えてあげるわ」
芽草ちゃんが隣に座る。
「ここはね、“筆者の気持ち”を読み取るの」
「気持ち……」
「そう。人の気持ちを考えるのはゲーム作りにも似てるわ」
「……なるほど!」
◆
「数学は簡単」
翔ちゃんが問題を見て即答する。
「え、もう解けたの?」
「……パターン」
「すごすぎる……」
「教えてください……」
リリィちゃんが真剣にメモを取る。
◆
「理科は……」
「この部分、ゲームの物理エンジンに応用できますね」
「え?」
「水の流れの計算とか」
「それテスト超えてない!?」
睡蓮さんはすでに別の領域に入っていた。
◆ 休憩時間
「ふぅ……」
机に突っ伏す私。
「疲れた……頭がぐるぐるする……」
「まだ序盤よ」
芽草ちゃんが紅茶を置く。
「でも、こういうのも悪くないでしょ?」
「うん……みんなでやると楽しい」
窓の外では夕方の光がゆっくり傾いている。
静かな屋敷なのに、
机の上だけはにぎやかだった。
「リリィちゃん、そこ合ってる?」
「えっと……ここは……」
「翔ちゃん、それ違う答えじゃ……」
「……あ」
「菫ちゃん、その式きれいすぎる!」
「癖で……」
笑い声が小さく広がっていく。
◆
「ねぇ、芳乃」
芽草ちゃんが小さく言う。
「どうしたの?」
「こういう時間も、悪くないわね」
「うん!」
私は笑う。
「勉強って大変だけど……」
「みんなとやると、ちょっと楽しい!」
◆ 夜へ
「今日はここまでにしましょうか」
睡蓮さんの声で一区切り。
「はーい……」
「……限界」
「もう少しやれます」
「まだいける気がします……!」
みんなそれぞれ反応が違う。
でも、机の上の空気は不思議と柔らかかった。
◆
帰り際。
玄関で靴を履きながら、
私はふと振り返る。
「ねぇ」
「ん?」
芽草ちゃんが振り向く。
「テスト終わったらさ」
「うん」
「またゲーム作ろうね!」
芽草ちゃんは少しだけ笑って、
「もちろん」
と答えた。
◆
夜風の中を歩く。
テスト前なのに、
なぜか少しだけ前向きな気持ちだった。
勉強も、ゲームも、
全部つながっている気がして。
――次は、テスト本番へ。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




