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Bloom Code ―太陽女学院ゲーム開発部―  作者: れんP
一学期編

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第三十九花「プール授業!」




「私は染井 芳乃(ソメイヨシノ)

城津 芽草(シロツメクサ)ちゃんと星咲 睡蓮(ホシザキスイレン)さんと糸刃 翔(イトバ ショウ)ちゃんと花森 菫(ハナモリ すみれ)ちゃんと顧問の風信子 桃花(ヒヤシンス ももか)先生と黒百合 リリィ(クロユリ りりぃ)ちゃんといっしょに太陽女学院でゲーム開発部をしています!」

 


七月の空は、どこまでも高く、どこまでも青かった。


 


太陽女学院の校舎の向こうから、きらきらと反射する光が揺れている。


 


水面だ。


 


プールの水面が、夏の光を跳ね返している。


 


 


「……ついにこの日が来たね」


 


 


私は小さく呟いた。


 


 


更衣室の前。


 


 


周囲には、同じように少しそわそわした様子の生徒たちが集まっている。


 


 


「芳乃ちゃん、顔が固いわよ?」


 


 


隣で、城津 芽草ちゃんがくすっと笑った。


 


 


「だ、だって……」


 


 


「水着、久しぶりで……」


 


 


「ふふっ、そんなに気にすることないわ」


 


 


芽草ちゃんは落ち着いた様子でロッカーを開ける。


 


 


その余裕が少し羨ましい。


 


 


 


「……着替える」


 


 


 


糸刃 翔ちゃんはいつも通り無表情で、淡々と準備を始めていた。


 


 


「翔ちゃん、緊張しないの?」


 


 


「……しない」


 


 


即答だった。


 


 


「すごいなぁ……」


 


 


 


「私は……ちょっとだけします……」


 


 


黒百合 リリィちゃんが小さく言う。


 


 


「水、あんまり得意じゃなくて……」


 


 


「大丈夫だよ!無理しなくていいし!」


 


 


私は慌ててフォローする。


 


 


「……ありがとうございます」


 


 


リリィちゃんは少しだけ安心したように微笑んだ。


 


 


 


◆ 更衣室


 


 


制服を脱いで、水着に着替える。


 


 


夏の空気が、ひんやりと肌に触れる。


 


 


鏡の前に立って、少しだけ自分の姿を確認する。


 


 


「……よし」


 


 


深呼吸。


 


 


 


「準備できた?」


 


 


「うん!」


 


 


「……いける」


 


 


「だ、大丈夫です……!」


 


 


 


四人で更衣室を出る。


 


 


 


◆ プールサイド


 


 


外に出た瞬間――


 


 


「うわぁ……!」


 


 


 


強い日差しと、水面のきらめきが目に飛び込んできた。


 


 


 


プールにはすでにたくさんの生徒が集まっていて、


 


笑い声や水音が響いている。


 


 


 


「夏って感じ……!」


 


 


 


「えぇ」


 


 


 


芽草ちゃんが少し目を細める。


 


 


 


「気持ちよさそうね」


 


 


 


「……まぶしい」


 


 


 


翔ちゃんは手で日差しを遮る。


 


 


 


「み、水……きれいですね……」


 


 


 


リリィちゃんは少し緊張した様子で水面を見つめていた。


 


 


 


◆ 授業開始


 


 


「それでは整列!」


 


 


体育教師の声が響く。


 


 


 


準備運動。


 


 


ストレッチ。


 


 


そして――


 


 


「まずは水に慣れるところから始めます」


 


 


 


 


◆ 入水


 


 


「ひゃっ……!」


 


 


 


足先から水に入れた瞬間、


 


冷たさが一気に広がる。


 


 


 


「つ、冷たい……!」


 


 


 


「最初だけよ」


 


 


 


芽草ちゃんはすんなりと水に入っていく。


 


 


 


「……普通」


 


 


 


翔ちゃんも淡々と。


 


 


 


「ひぅ……!」


 


 


 


リリィちゃんは少し震えていた。


 


 


 


「大丈夫?」


 


 


 


「は、はい……なんとか……」


 


 


 


 


ゆっくり、ゆっくりと体を水に慣らしていく。


 


 


 


最初の冷たさが嘘みたいに、


 


だんだん気持ちよくなってくる。


 


 


 


「……あ、ちょっと楽しいかも」


 


 


 


「でしょ?」


 


 


 


芽草ちゃんが笑う。


 


 


 


◆ 自由練習


 


 


「それでは各自、練習を行ってください」


 


 


 


その声と同時に、


 


プールが一気に賑やかになる。


 


 


 


「芳乃、泳げる?」


 


 


 


「一応クロールくらいなら!」


 


 


 


「じゃあ競争する?」


 


 


 


「えっ!?」


 


 


 


「冗談よ」


 


 


 


「びっくりした……」


 


 


 


 


「……泳ぐ」


 


 


 


翔ちゃんが静かに水を蹴る。


 


 


 


すっと伸びるフォーム。


 


 


 


「速っ!?」


 


 


 


「……普通」


 


 


 


どう見ても普通じゃない。


 


 


 


 


「リリィちゃんは無理しなくていいからね」


 


 


 


「はい……浅いところで……」


 


 


 


リリィちゃんはプールの端をしっかり持ちながら、


 


ゆっくりと足を動かしていた。


 


 


 


「……いい感じだよ」


 


 


 


「ほ、本当ですか……?」


 


 


 


「うん!」


 


 


 


少しずつ、少しずつ。


 


 


 



 


 


水の音。


 


 


笑い声。


 


 


夏の匂い。


 


 


 


その全部が――


 


 


なんだか、すごく心地いい。


 


 


 


◆ 休憩時間


 


 


「はぁ……」


 


 


プールサイドに座って、


 


足だけ水につける。


 


 


 


「疲れた?」


 


 


 


「ちょっとね」


 


 


 


「でも楽しいでしょ?」


 


 


 


「うん!」


 


 


 


 


「……夏」


 


 


 


翔ちゃんがぽつりと呟く。


 


 


 


「え?」


 


 


 


「……終わらない感じ」


 


 


 


 


その言葉に、少しだけ胸が引っかかる。


 


 


 


「……そっか」


 


 


 


今、私たちが作っているゲーム。


 


 


 


“終わらない夏”。


 


 


 


それと、今この瞬間が重なる。


 


 


 


「でも――」


 


 


 


私は言う。


 


 


 


「終わらないんじゃなくて」


 


 


 


「ちゃんと続いてるんだよ」


 


 


 


「……続いてる?」


 


 


 


「うん。毎日がちゃんと進んでる」


 


 


 


 


芽草ちゃんが静かに頷く。


 


 


 


「いい言葉ね」


 


 


 


 


◆ 授業終了


 


 


「本日の授業はここまで!」


 


 


 


先生の声が響く。


 


 


 


「終わったぁ……!」


 


 


 


「楽しかった……」


 


 


 


「……まあまあ」


 


 


 


「つ、疲れました……」


 


 


 


 


◆ 放課後・部室


 


 


「さて」


 


 


 


「続きをやりましょうか」


 


 


 


空気が一気に切り替わる。


 


 


 


「はい!」


 


 


 


 


◆ 制作


 


 


「このシーン、プールの感覚活かせそう」


 


 


 


「水の音、入れます……!」


 


 


 


「夕方の色、少し変える」


 


 


 


「分岐、ここで確定させます」


 


 


 


「テスト、回します……!」


 


 


 


 


今日の体験が、


 


そのまま作品に溶けていく。


 


 


 


◆ 夕方


 


 


「……ここまで来たね」


 


 


 


画面には、


 


ほぼ完成した短編ゲーム。


 


 


 


「あと少し」


 


 


 


「えぇ」


 


 


 


「……完成、見えてる」


 


 


 


「がんばります……!」


 


 


 


 



 


 


プールの水の感触。


 


 


夏の光。


 


 


笑い声。


 


 


 


その全部を乗せて――


 


 


 


私たちのゲームは、


 


完成へと近づいていく。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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