第三十八花「終わらない夏のプロトタイプ」
私は染井 芳乃!
城津 芽草ちゃんと星咲 睡蓮さんと糸刃 翔ちゃんと花森 菫ちゃんと顧問の風信子 桃花先生と黒百合 リリィちゃんといっしょに太陽女学院でゲーム開発部をしています!
◆ 7月・太陽女学院 ゲーム開発部部室(放課後)
「よし、それじゃあ――」
私はホワイトボードの前に立つ。
「短編ゲーム制作、スタートです!」
「おー」
「……静か」
「いやいや翔ちゃんテンション低いよ!?」
「……いつも通り」
「ふふっ、でもやる気はあるわよね?」
「……ある」
◆
ホワイトボードには大きく書かれている。
【テーマ:終わらない夏】
「まずは世界観の整理からですね」
睡蓮さんが冷静に言う。
「時間ループ系にするか、それとも象徴的な表現にするか」
「ループ……いいね」
「でも、ちょっと王道すぎるかも?」
芽草ちゃんが腕を組む。
「“終わらない”理由に独自性が欲しいわね」
「例えば……」
私は考えながら言う。
「誰かの願いで止まってる、とか?」
「……いい」
翔ちゃんが短く頷く。
「切ない系ですね……!」
菫ちゃんの目がきらきらする。
「感情表現とも相性がいいです」
リリィちゃんがメモを取りながら言う。
◆
「じゃあ主人公は?」
「普通の学生……?」
「それとも外部から来た存在?」
「……観測者」
「おっ、翔ちゃんナイス」
「世界に干渉できるけど、完全には救えない立場……とか?」
「それ、すごくいいです……!」
「エンディング分岐も作れますね」
睡蓮さんがすぐに設計を組み始める。
◆
「じゃあ役割確認しよ!」
「シナリオは私と芽草ちゃんで!」
「えぇ、構成は任せて」
「プログラムは私が担当します」
「……イラスト、やる」
「音楽は……がんばります……!」
「私は全体補助とテスト……!」
「完璧ね」
桃花先生が満足そうに頷く。
◆ 作業開始
カタカタカタ……
ペンが走る音。
キーボードの音。
部室の空気が一気に“制作モード”になる。
「……このシーン、もう少し感情を強くしたい」
「じゃあ選択肢で分岐させる?」
「いいわね」
「ここで音、静かに入れます……」
「……夕焼け、描く」
「デバッグ、今のうちにやっておきます……!」
全員が、同じ方向を向いている。
◆ しばらく後
「……できた」
「え!?」
「ラフだけど、主要キャラ」
翔ちゃんが見せてくれたイラスト。
夕焼けの中に立つ少女。
どこか寂しそうで、
でも――
優しい表情。
「……すごい」
「この子が、“夏を止めてる存在”……」
「……うん」
一気に世界が見えた気がした。
◆
「この子を救うか、救わないか」
「それが選択になるのね」
「……どっちも正解で、どっちも不正解」
「うわぁ……好き……!」
◆ 夕方
「今日はここまでにしましょうか」
「はーい!」
「……いい感じ」
「進みましたね……!」
「このペースなら、短期間で完成できます」
◆
帰る準備をしながら――
私はふと窓の外を見る。
まだ明るい空。
「ほんとに夏って感じだね」
「えぇ」
「終わらない夏、か……」
「……でも」
芽草ちゃんが言う。
「私たちの夏は、ちゃんと進んでる」
「……うん!」
◆
新しいゲーム。
新しい挑戦。
そして――
次は。
「……あ、そういえば」
「なに?」
「明日からプール授業だよ?」
「……え?」
「えぇ!?」
「水着……!」
「……泳げない」
「が、がんばります……!」
「ふふっ、夏らしくなってきたわね」
◆
開発も、日常も。
どっちも全力で!
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




