第三十七花「咲き誇る夜と、次の季節へ」
私は染井 芳乃!
城津 芽草ちゃんと星咲 睡蓮さんと糸刃 翔ちゃんと花森 菫ちゃんと顧問の風信子 桃花先生と黒百合 リリィちゃんといっしょに太陽女学院でゲーム開発部をしています!
◆ 太陽女学院・部室棟 ゲーム開発部部室(夕方)
「というわけで――」
私は大きく息を吸って、
「準優勝おめでとう会、スタート!!」
「おー!!」
ぱちぱちぱち!
拍手と笑い声が部室に広がる。
机の上には――
お菓子、ジュース、そしてちょっとした軽食。
「こんなに用意したの……?」
「桃花先生が買ってきてくれたんだよ!」
「ふふっ、こういう時くらいはね」
桃花先生がウインクする。
「ありがとうございます……!」
菫ちゃんがぺこりと頭を下げる。
「……いただきます」
翔ちゃんはもう食べ始めてる。
「早いよ!?」
「……腹減った」
「まぁまぁ、今日は無礼講ってことで」
芽草ちゃんがくすっと笑う。
◆
「いや〜、ほんとにすごかったよね」
「展示の時の反応も良かったし」
「えぇ、データ的にも好感触でした」
睡蓮さんがタブレットを見せる。
「アンケートでも高評価が多いです」
「ほんと!?」
「はい。“世界観が深い”“選択が面白い”など」
「やった……!」
私は思わずガッツポーズ。
「……音も褒められてた」
翔ちゃんがぽつり。
「ほんと!?よかったぁ……!」
菫ちゃんの顔がぱっと明るくなる。
「キャラデザインも人気でしたよ……!」
リリィちゃんがメモを見せる。
「“表情が好き”って……!」
「……よかった」
翔ちゃんが少しだけ微笑む。
◆
「でも――」
芽草ちゃんが静かに言う。
「優勝には届かなかった」
一瞬、空気が少しだけ変わる。
「……うん」
「悔しい」
「はい……」
「……負けた」
でも――
「だからこそ、よ」
芽草ちゃんが顔を上げる。
「次がある」
「次……」
「7月、どうする?」
桃花先生がにやっと笑う。
「……新作?」
「それもいいわね」
「でも大会後すぐは無理じゃない?」
「たしかに……」
「なら――」
私は思い切って言う。
「短編、作らない?」
「短編?」
「うん!今までの経験を活かして、小さくてもいいから一本!」
「……なるほど」
「技術のブラッシュアップにもなりますね」
「いいと思うわ」
「……やる」
「わ、私も……!」
◆
「テーマはどうする?」
「夏、でしょ」
芽草ちゃんが即答する。
「7月だもの」
「夏……」
「いいですね……!」
「……海?」
「それもいいね!」
「でも、ちょっとひねりたい」
「例えば?」
「“終わらない夏”とか?」
「……いい」
「それ、面白そうです」
「ちょっと切ない感じ……!」
アイデアがどんどん広がっていく。
◆
「ふふっ」
桃花先生がそれを見て微笑む。
「もう次に進んでるのね」
「はい!」
私は力強く答える。
「まだまだ、終わりじゃないです!」
◆ 夜
気づけば、外は暗くなっていた。
部室の明かりだけが、
静かに灯っている。
「今日はこのへんで解散にしましょうか」
「はーい!」
「……楽しかった」
「はい……!」
「また明日ね」
「うん!」
◆
帰り道。
夜風が少しだけ涼しい。
私は空を見上げる。
「……準優勝、か」
悔しさもある。
でも――
それ以上に。
「楽しかったな」
そして――
「次は、もっと上へ」
◆
7月。
新しい季節。
新しい物語。
私たちの“開発”は――
まだ、始まったばかり。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




