第三十五花「新芽クリエイターズコンテスト・前編」
私は染井 芳乃!
城津 芽草ちゃんと星咲 睡蓮さんと糸刃 翔ちゃんと花森 菫ちゃんと顧問の風信子 桃花先生と黒百合 リリィちゃんといっしょに太陽女学院でゲーム開発部をしています!
ついに――
ここまで来た。
◆ 大会会場・入口
「……すごい人」
目の前に広がる光景に、思わず息を呑む。
学生、先生、スタッフ、来場者。
いろんな人が行き交っている。
「緊張、してきた……」
「大丈夫よ」
芽草ちゃんがそっと言う。
「私たちは私たちのゲームを見せればいい」
「……うん!」
◆ 受付
「次の方どうぞ」
スタッフさんに呼ばれる。
「太陽女学院、ゲーム開発部です!」
「エントリー番号をお願いします」
「はい、こちらです」
睡蓮さんがすっと資料を差し出す。
「確認しますね……」
カタカタとキーボードの音。
「……はい、確認できました」
「こちらが参加証と展示ブース番号になります」
「ありがとうございます!」
首から下げる参加証。
それだけで――
「……出場者なんだ」
って、実感が一気に湧いてきた。
◆ 会場内
「広っ……!」
中は想像以上に広かった。
たくさんのブース。
それぞれに並ぶパソコンや展示物。
「レベル高そう……」
「えぇ、どの作品も本気ね」
「……負けない」
翔ちゃんがぽつりと呟く。
◆ ブース前
「ここ……ですね」
リリィちゃんが番号を確認する。
「よし、設営しよう!」
◆ 設営開始
「机の位置はこのままでいいですか?」
「うん、プレイしやすそう」
「PC起動します」
「……ケーブル繋いだ」
「音チェック……大丈夫です」
「パンフレットここに置きますね……!」
それぞれが自然に動く。
何度も練習してきたから。
「……起動完了」
画面に映る――
私たちのゲーム。
タイトル画面。
それを見た瞬間。
「……ここまで来たんだね」
私は小さく呟いた。
「えぇ」
「長かったけど……あっという間だった」
「……うん」
◆ 展示開始
「それでは、展示開始となります!」
アナウンスが響く。
同時に――
人が一気に動き出す。
「すみません、こちらのゲームって……」
「はい!よければ遊んでいってください!」
私は笑顔で対応する。
「操作はシンプルで――」
「世界観は“感情”がテーマで――」
「選択によって物語が変わります!」
「へぇ、面白そう!」
プレイヤーが席に座る。
「……お願いします」
翔ちゃんが小さく頭を下げる。
「音量大丈夫ですか?」
菫ちゃんが確認する。
「はい、ちょうどいいです」
「……ありがとうございます」
リリィちゃんがメモを取る。
◆
プレイ中――
「え、なにこれ……」
「選択でこんなに変わるの?」
「キャラ可愛い……」
「音、いいね」
その一つ一つが、
胸に刺さる。
嬉しい。
怖い。
でも――
楽しい。
◆
「ありがとうございました!」
「すごく良かったです!」
「応援してます!」
去っていく来場者。
その背中を見送りながら、
私は深く息を吐く。
「……どうだった?」
「手応え、あります」
睡蓮さんがはっきり言う。
「……うん」
「いける気がする」
「……楽しかった」
「わ、私も……!」
「……よかった」
◆ 展示終了
「以上で展示を終了いたします」
アナウンスが流れる。
「終わった……」
「えぇ」
「……あとは」
「結果だけですね」
◆
少しの静けさ。
さっきまでの熱気が、
嘘みたいに落ち着いていく。
「……ねぇ」
「なに?」
「ここまで来れただけでも、すごいよね」
「えぇ」
芽草ちゃんが優しく頷く。
「でも――」
「うん」
「勝ちたい」
全員の想いが、重なる。
◆ 表彰式会場へ
「参加者の皆様は、表彰式会場へご移動ください」
「行こう」
「うん!」
私たちは歩き出す。
一歩一歩が、
やけに重く感じる。
でも――
止まらない。
◆ 表彰式会場
広いホール。
並べられた椅子。
前には、大きなステージ。
「……ここで」
「結果が出るのね」
「……」
私は、手をぎゅっと握る。
◆
ついに――
その時が来る。
「これより、新芽クリエイターズコンテストの表彰式を開始いたします」
会場が静まり返る。
心臓の音が――
やけに大きく聞こえる。
◆
私たちの運命は――
次の瞬間に。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




