第二十一花「揺れる花詞と守る約束」
私は染井 芳乃!
城津 芽草ちゃんと星咲 睡蓮さんと糸刃 翔ちゃんと花森 菫ちゃんと顧問の風信子 桃花先生といっしょに太陽女学院でゲーム開発部をしています!
◆ 太陽女学院・染井 芳乃の教室
「う~~ん....」
私はノートを見つめながら、思わずうなってしまった。
「どうかしたの?」
隣の席から、芽草ちゃんが覗き込んでくる。
「今日の授業、よくわからなくて……」
「ふふっ、いいわよ、教えてあげるわ。どこがわからないの?」
「えっとね、ここ」
私はノートの一部を指差す。
「ここはね、ここをこうやるとわかりやすいわ」
芽草ちゃんはさらさらとノートに書き込みながら説明してくれる。
「……あ!」
「わかった?」
「うん!ありがと!」
「ふふっ、べつにいいわ。わからないところは助け合いよ」
「うんっ!」
こういう何気ない時間――
なんだか、すごく好きだなって思う。
◆ 太陽女学院・廊下にて
授業が終わって、私たちは廊下を歩いていた。
「それにしても、開花祭が終わってから静かになったね」
「そうね。でも、きっとまたにぎやかになるわ」
「そうだよね」
少し寂しいけど――
それもまた、次の始まりの前って感じがする。
「えぇ。あ、そうだわ」
芽草ちゃんがふと思い出したように言う。
「今日の午後の授業は『花詞』の制御よ」
「花詞?」
「えぇ。私たち緑人に宿る、心に刻まれた言葉――それが『花詞』よ」
「心に刻まれた……言葉……」
なんだか、すごく大事そうな響き。
「午後の授業では、それを制御するための訓練をするの」
「制御……できなかったら?」
私がそう聞くと――
「そうね」
芽草ちゃんは一瞬だけ目を細めた。
「花詞によっては、暴れまわるわ」
「えっ……」
「でも安心して」
次の瞬間、優しく微笑む。
「芳乃ちゃんのことも、部員のみんなのことも――私が必ず守るわ」
そして、少しだけ――
「“何をしてでも”ね」
「芽草ちゃん……なんか少し怖いよ」
「ふふっ、そうかしら?」
いつもの笑顔。
でも、ほんの少しだけ――
違って見えた気がした。
◆ 太陽女学院・訓練室
午後。
私たちは広い訓練室に集まっていた。
床には円形の模様が描かれていて、どこか神聖な空気が漂っている。
「ここが、花詞制御の訓練室……」
「えぇ」
そこへ――
「みんな、集まっているわね」
桃花先生が現れた。
「先生!」
「今日は『花詞』の基礎制御を学びます」
先生の声は、いつもより少し真剣だった。
「花詞は感情と強く結びついている力。だからこそ――制御ができなければ、自分自身も周囲も傷つけてしまう可能性があるわ」
「……」
さっきの芽草ちゃんの言葉が頭をよぎる。
「まずは、深呼吸から」
先生の指示に従って、私は目を閉じる。
吸って――吐いて――
すると。
「……っ」
胸の奥が、ほんのり温かくなる。
「それが、あなたの花詞の気配よ」
先生の声が響く。
「それを、暴れさせるのではなく――“寄り添う”ように感じて」
寄り添う……?
そのとき。
「……芳乃」
隣から小さな声。
翔ちゃんだった。
「大丈夫?」
「う、うん……たぶん」
「無理しないで」
「ありがとう」
◆
しばらくして――
「……できた」
誰かが呟く。
見ると、睡蓮さんの手のひらに淡い光が浮かんでいた。
「すごい……!」
「安定していますね」
菫ちゃんも驚いたように言う。
「個人差はあるけれど、良い調子よ」
桃花先生が頷く。
「芳乃ちゃんも、焦らなくていいのよ」
「はい……!」
◆
訓練が終わるころには――
私はまだうまくできなかったけど。
それでも。
「……なんとなく、わかった気がする」
胸の奥の“何か”。
それはきっと――
これから、もっと知っていくもの。
◆ 放課後・部室棟
「今日は少し疲れたね……」
私は椅子に座りながら言う。
「慣れないことでしたからね」
「でも、大事なことだわ」
「……うん」
「次のゲームにも、関係あるかもしれないわね」
芽草ちゃんがぽつりと呟く。
「え?」
「感情と力――表現として活かせるかもしれない」
「……それ、いい」
翔ちゃんが頷く。
「ゲームに“花詞”を取り入れる……ですか」
「面白そうですね……!」
菫ちゃんも目を輝かせる。
「ふふっ、また新しいアイデアが生まれたわね」
こうして――
日常と非日常が少しずつ混ざりながら。
ゲーム開発部の新しい挑戦が、また始まろうとしていた。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




