第二花「部員集め!そして第一部員」
私は、染井 芳乃。
太陽女学院に入学したばかりの新入生で――
そして今、とても困った状況に直面している。
「う〜ん……」
昼休みの中庭。
柔らかな日差しを浴びながら、私はベンチに座って頭を抱えていた。
緑人にとって、太陽の光は元気の源。
本来なら気分も明るくなるはずなのに――
(部員集め……どうしよう)
そう。問題はそれだ。
ゲーム開発部は、現在――部員ゼロ。
そして私は、入部したことで“たった一人の部員”になった。
必要な人数は、最低四人。
(あと三人……集めないと)
頭ではわかっている。
でも、どうやって?
入学したばかりで、知り合いもほとんどいない。
いきなり「一緒にゲーム作ろう!」なんて言って、来てくれる人がいるのかどうか。
「うぅ……」
思わずうなり声が漏れる。
そのときだった。
「ねぇ、どうしたの?」
後ろから、やわらかい声がかかった。
「え!?あ、ううん、なんでもないよ!」
慌てて顔を上げる。
そこに立っていたのは、小柄な女の子。
落ち着いた雰囲気で、優しそうにこちらを見ている。
彼女の名前は、城津 芽草ちゃん。
入学してすぐに知り合って――
気づけば一緒にいることが増えていた。
この学院で、初めてできた親友。
「そう?なにか悩んでいるみたいだったけど……」
芽草ちゃんは、私の隣にそっと座る。
「困ったことがあれば話して?抱え込むのは体に悪いわよ」
その言葉に、胸の奥が少しだけ軽くなる。
「……うん、実はね」
少し迷ってから、私は口を開いた。
「ゲーム開発部の、部員集め?」
「うん……部員集めで悩んでて」
正直に話すと、芽草ちゃんは少し考え込むように視線を落とした。
「それって――私が入部しても良いのかしら?」
「え!?」
思わず立ち上がりそうになる。
「だって、何かを作るって楽しそうじゃない」
芽草ちゃんは、ほんの少しだけ微笑んだ。
「それに、親友が悩んでいるもの。おいてはおけないわ」
その言葉に――
胸の奥が、ふわっと温かくなる。
気づけば、私の髪に咲いた桜が、やわらかく揺れていた。
「うん!ありがとう!!」
思わず、声が弾む。
「えぇ」
芽草ちゃんは、いつもの落ち着いた表情でうなずいた。
でも、その髪の小さな葉が、ほんの少しだけ揺れているのを私は見逃さなかった。
「そうだ、あと何人必要なの?」
「えっと……私と、芽草ちゃんだから……あと二人!」
指折り数えて答える。
「あと二人……」
芽草ちゃんは小さく繰り返し、すぐに顔を上げた。
「わかったわ。こっちでも知り合いに話しておくわ」
「ありがとう!」
力強くうなずく。
一人だった部活に、仲間ができた。
それだけで、世界が少し変わって見える。
(あと二人……)
まだ道のりは遠い。
でも――
(いけるかもしれない)
そんな気がした。
太陽の光を浴びながら、私は空を見上げる。
その瞬間。
髪に咲いた桜が、さっきよりも少しだけ大きく開いた気がした。
ゲーム開発部、現在二人。
満開まで――あと、もう少し。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




