第十六花「開花祭前の試作ゲームテスト!」
私は染井 芳乃!
城津 芽草ちゃんと星咲 睡蓮さんと糸刃 翔ちゃんと花森 菫ちゃんと顧問の風信子 桃花先生とゲーム開発部で頑張り中!
試作ゲーム――
『フルール・スピリット』は、ついに形になった。
でも。
「これで終わり……じゃないよね」
放課後の部室。
私の言葉に、みんなが静かに頷いた。
「えぇ。ここからが“本当の仕上げ”よ」
芽草ちゃんがはっきりと言う。
「開花祭で出す以上、“遊べる”だけじゃ足りない」
「“面白い”って思ってもらわないと」
「……テスト、する」
翔ちゃんがぽつり。
「はい。プレイテストを重ねて、改善していきましょう」
睡蓮さんがキーボードに手を置いた。
◆
――第1回プレイテスト。
「よーし、やるよー!」
私は勢いよくスタートボタンを押す。
花が咲き、動物の精霊たちが現れる。
タップ、タップ、タップ!
コンボがつながり、スコアが増える。
BGMも心地いい。
「いい感じ……!」
そう思った――次の瞬間。
「あれ?」
画面の動きが、一瞬止まる。
「……重い?」
翔ちゃんが呟く。
「処理落ちですね」
睡蓮さんがすぐに分析を始める。
「エフェクトとアニメーションが同時に重なったとき、負荷が上がっています」
「つまり……?」
「最適化します」
◆
数時間後。
「改善版です」
再びプレイ。
――サクサク動く!
「すごい!全然違う!」
「処理の軽量化と、エフェクトの調整を行いました」
「さすが睡蓮さん……!」
◆
――第2回プレイテスト。
今度は芽草ちゃんがプレイする。
冷静に、正確に操作していく。
「……」
「どう?」
「バランスが少し甘いわね」
「えっ!?」
「コンボの倍率が高すぎる。ある程度慣れると、一気にスコアが伸びすぎるわ」
「たしかに……」
「あと、レアキャラの出現率も少し高いかもしれない」
「調整します」
睡蓮さんが即座に数値を見直す。
◆
――第3回プレイテスト。
今度は菫ちゃん。
タップ音、BGM、演出。
耳を澄ませながらプレイしている。
「……どう?」
「……少しだけ」
「?」
「コンボが途切れたとき、ちょっと寂しいです」
「……あっ」
「だから……」
「途切れたときの音も、つけたいです」
「なるほど!!」
「落ち込む音じゃなくて……“もう一回頑張ろう”って思える音」
「いいアイデアだね!」
◆
――第4回プレイテスト。
翔ちゃん。
じっと画面を見つめながら、プレイする。
「……」
「翔ちゃん?」
「……見えない」
「え?」
「……花と動物、重なると……わかりにくい」
「あ……!」
「色のコントラストを調整しましょう」
「あと、タップできる対象に軽く光をつけるとか」
「……それ、いい」
◆
そして――
何度も、何度も。
テストして、直して、またテストして。
◆
あるとき。
「バグ、見つけた」
翔ちゃんが言った。
「えっ!?」
「……同時にいっぱいタップすると……消えないのがある」
「確認します」
実際に試すと――
確かに、一部の動物が反応しない。
「入力処理の競合ですね……」
「難しそう……?」
「いえ、修正可能です」
睡蓮さんは落ち着いてコードを見直す。
数十分後――
「修正完了です」
「はやい!!」
◆
さらに――
「もう一つ、提案があるわ」
芽草ちゃんが言う。
「“スコア表示”をもっとわかりやすくしましょう」
「たしかに、今はちょっと地味かも」
「コンボのとき、大きく表示したり、動きをつけたり」
「……派手にする」
「はい、やりましょう」
◆
そして――
ついに。
「……完成です」
睡蓮さんが、静かに言った。
画面には――
やわらかな花の庭園。
動き回るかわいい精霊たち。
気持ちいいタップ音。
美しいBGM。
ちょうどいい難易度。
やりこみたくなる成長要素。
そして、ストレスのない動作。
私は、そっとプレイする。
楽しい。
ただそれだけじゃない。
「もう一回やりたい」って、自然に思える。
「……すごい」
「えぇ。これなら胸を張って出せるわ」
「……完成」
「はい……!」
「よーし!!」
私は、思いっきり手を上げた。
「『フルール・スピリット』――完成!!」
「「「「おー!!!」」」」
その瞬間。
今までの努力が、全部つながった気がした。
「開花祭、楽しみね」
先生が優しく言う。
「はい!」
私たちのゲームは、ついに完成した。
次はいよいよ――
開花祭、本番。
ゲーム開発部の挑戦は、
大きな舞台へと進んでいく――!
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




