第十五花「試作ゲームの進化!」②
私は染井 芳乃!
城津 芽草ちゃんと星咲 睡蓮さんと糸刃 翔ちゃんと花森 菫ちゃんと顧問の風信子 桃花先生とゲーム開発部で頑張り中!
進化した試作ゲーム――
だけど、まだ“完成”じゃない。
「あと一歩……何か足りない気がする」
私は画面を見つめながらつぶやく。
「そうね……」
芽草ちゃんも考え込む。
「ゲームとしては成立してる。でも、“記憶に残る何か”が欲しいわ」
「……世界観」
翔ちゃんがぽつりと言った。
「世界観?」
「……この子たち、なんで出てくるのか……わからない」
「あ……たしかに!」
ただ動物をタップするだけじゃなくて、
“理由”や“意味”があったほうがいい。
「じゃあ……設定をつけてみましょう」
睡蓮さんがすぐに反応する。
◆
数分後――
「こんなのはどうかしら」
芽草ちゃんがノートを見せる。
「ここは、“花の庭園”」
「動物たちは、花から生まれる精霊」
「プレイヤーは、その庭園を管理する存在」
「いい……!」
「かわいいし、雰囲気も合うね!」
「……描ける」
翔ちゃんの目が少し輝く。
「じゃあ、背景も作り直そう」
◆
数時間後――
画面には、やわらかな色合いの花の庭園。
花がふわっと咲いて、
そこから動物たちが現れる。
「うわぁ……!」
「一気に世界ができた……!」
「音も合わせますね」
菫ちゃんが新しいBGMを流す。
やさしくて、少し幻想的なメロディ。
「……すごい、ぴったり」
◆
「あと、もう一つ」
睡蓮さんが画面を操作する。
「成長要素を追加してみました」
「成長?」
「スコアをためると、庭園の花が増えていきます」
「えっ!」
実際にプレイすると――
スコアが一定に達した瞬間、
ぽんっ、と新しい花が咲いた。
「うわぁぁ!!」
「すごい……やりこみ要素……!」
「……もっとやりたくなる」
翔ちゃんが小さく呟く。
◆
そして――
「……これで」
睡蓮さんが、静かに言った。
「試作としては、“完成”です」
一瞬、誰も言葉を発しなかった。
「……できたんだ」
私は、画面を見つめる。
最初は、ただタップするだけのゲームだった。
でも今は――
世界があって、音があって、
成長があって、楽しいが詰まってる。
「……やったね」
「えぇ」
「はい!」
「……うん」
◆
「さて」
桃花先生が、微笑む。
「最後に必要なものは?」
「……名前!」
私は即答した。
「そうね。このゲームにふさわしい名前を決めましょう」
みんなで考える。
花、庭園、精霊、成長――
そして――
「……“咲いていく感じ”がいい」
翔ちゃんの一言。
「咲く、増える、広がる……」
「ガーデン……ブルーム……」
「うーん……」
そのとき――
「……“フルール・スピリット”はどうでしょう」
菫ちゃんが、少し控えめに言った。
「花の精霊、って意味で……」
一瞬の沈黙。
「……いい」
翔ちゃんが即答する。
「雰囲気もぴったりね」
「覚えやすいし、かわいい!」
「決まり、ですね」
「よーし!!」
私は大きく手を上げた。
「試作ゲーム――『フルール・スピリット』完成!!」
「「「「おー!!」」」」
こうして、私たちの最初のゲームは完成した。
でも――
これはあくまで“試作”。
本番は、開花祭。
そして、その先――
大会へ。
ゲーム開発部の物語は、まだまだ続く!
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




