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嫁が優秀な子供ほしさに義理の祖父と托卵を企てやがった! 俺は嫁一族と縁を切り、托卵された子供を育てる決意を固める。  作者: panpan


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池谷 大河⑦

大河視点です。


 千鶴との離婚を成立させ……音瑚の親権を勝ち取ることができた。

長い時間を掛けて準備を進め、求めていた目的がやっと達成されたと言うのに……俺の心はどんよりと曇ったままだった。

千鶴を奪い……俺と音瑚の人生を狂わせた熊次郎にも前科がつき、世間から徹底的に叩かれていると聞いた。

正直、ざまあみろとは思うが……それでも俺の心はあまり晴れなかった。

失ったものが……あまりにも多すぎたんだ。


-------------------------------------


「大河……お願い、私の話を……」


 離婚してから数日後……俺は千鶴と過ごしていた家に私物を取りに行った。

するとそこには千鶴が待ち伏せていて、案の定……俺に復縁を申し込んできた。

まあ薄々こうなる予感はしていたから、そんなに驚きはしなかった……。

無論、俺は千鶴を無視して私物の回収に専念した。

それでもしつこく復縁してくれと言ってくるので……警察に突き出すぞと脅して強引に黙らせた。


※※※


 千鶴の復縁要請を回避しつつ、どうにか私物を回収し終えた俺は玄関のドアノブに手を掛けた。


「待ってよ、大河! お願いだから……私を捨てないで!」


 警察を呼ぶと言う警告を無視し……千鶴はまたもや復縁を求めてきた。

それだけならうざいと思っただけだったが……被害者のように涙を流す千鶴の態度に少しイラ立ちを覚え……。


「……いい加減にしろ。

お前とはもう離婚して赤の他人だ。

それに……お前とやり直す気は毛頭ない」


 無視しておけば良いのに……ついつい意味のない言葉を返してしまった。

すると千鶴は……。


「ねぇお願い……なんでもするから……子供だって生むからぁ……」


 俺の腕を掴んだまま……衣服を脱ごうとしてきた。

千鶴からすればなんでもするという言葉を証明したいがための行動だったんだろうが……体で俺を引き留めようとするその姿は、俺からすればひどくおぞましかった。

服の隙間から見える千鶴の素肌……結婚していた頃はその美しさに魅了されていたが、今は視線を外したいほど汚らわしく見える。


「やめろ……」


 つらかった……怖かった……。

愛おしくてたまらなかった女に……人生を賭けて幸せにしようとした妻に……これ以、幻滅したくなかった。

裏切られたけれど……千鶴と過ごした時間は本当に楽しかったから……。

だから……だから……頼む。

お前を愛したことを……これ以上、後悔させないでくれ。


「失せろぉ!!」


 俺は力強く千鶴の手を振り払い……彼女が転倒している間に家を出た。

腰でも打ったのか……それとも怖くて動けなかったのか……千鶴が追いかけて来ることはなかった。


「……」


 人に暴力を振るうなんてグレていた頃以来だ……暴力とは言っても、突き飛ばしや胸倉を掴むといった方で、ヤンキー漫画のような殴る蹴るとは無縁だったけどな。

ガキだったあの頃は多少の暴力なんてなんとも思っていなかったけど……こうして見ると気味の悪いものだな。

愛していたとはいえ……俺を裏切った女が相手だと言うのに……ひどく罪悪感が残っている。

だからといって……面と向かって謝る勇気はなかったがな。


-------------------------------------


 それから間もなく……俺は仕事をやめ、龍男の家から引っ越すことにした。

いつまでも龍男のやっかいになる訳にはいかない……というのももちろんある。

だがそれ以上に……引っ越しの決意を固くさせたのはSNSだ。

今、SNSはこれまでに前例がないと言っても過言ではないほどの大炎上を広げている……。

その火種となっている中心人物は……言うまでもなく道種熊次郎。

そりゃあ……千鶴を始めとした身内の女性達に片っ端から手を出して、子供まで作らせていれば……世間の批判くらいは買うだろうから別に驚きはしない……つーかどうでも良い。

だけど気になるのは……俺を批判してくる一部の連中だ。

熊次郎の托卵や不貞がバレるきっかけになった俺と千鶴の離婚騒動……それを機に熊次郎が叩かれ、叩かれるほど俺や音瑚にも火の粉が飛んでくる。


『この旦那……昔、墓に穴を空けるなんてバチ当たりなことしてたクズじゃん!

クズのくせに……浮気だの托卵だのくだらない理由で奥さんと離婚するなんて器小さすぎ!! 爺以下!』


『娘さんを奥さんに返してあげてください。 血の繋がらないクズ男より血の繋がった母親の方が娘さんだって幸せのはずです』


 他人事なのをいいことに……俺のかつてのやらかしを理由に俺に罵詈雑言を並び立ててくる。

それだけなら無視すれば良い話だが……中には俺が音瑚の親権を取ったことが気に入らない奴もいるようで……。


『おいクズ旦那! 今住んでいる場所、特定したからな! 娘ちゃんを取り返しに行くから覚悟しろ!!』


 俺から音瑚を奪うと宣言し……龍男の家を特定し始めている。

それが冗談であってくれたら良いが……熊次郎のように自分を正義だと疑わない人間は何をしでかすかわかったものじゃない。

俺のことはともかく……音瑚に危害が及ぶことは避けなければいけない。


『クズ旦那を匿っている友人も同罪だ!!』


 俺のことをクズだのなんだのと蔑んでヒートアップしたのか……俺を匿ってくれていた龍男にまで矛先が向けられたのは本当に予想外だった。

ここまでくるともはや指名手配犯だな……俺。


「龍男……悪いな。

最後まで迷惑かけちまって……」


「気にするな。

今回の一件でたんまりと報酬がもらえたし……こんなボロアパートさっさと引っ越したいと思ってたところだったんだ」


 結局……龍男もアパートを引き払い、俺や義父から得た報酬でマンションへと引っ越すことになってしまった。

龍男は気にするなと笑っていたが……俺は理不尽だと思えてならなかった。

別に俺のことは良い……だけど、俺や義父のために頑張っていた龍男がどうして被害を被らないといけないんだ?

龍男がいたからこそ……俺達は勝つことができたんだ。

熊次郎のこれまでの行為が明るみになったんだ……。

そんな功労者がどうして……世間に叩かれないといけないんだ?

熊次郎の理想とやらに賛同する気は微塵もないが……あいつの言う通り、世の中は無能なバカであふれているのかもしれないな……。


「じゃあな、大河」


「あぁ、色々ありがとうな。 龍男」


 龍男にこれまでの感謝を簡単に伝え、俺は音瑚と共に新たな生活拠点へと向かった。


-------------------------------------


 俺と音瑚が引っ越した先は、田舎町にある父方の実家だ。

じいちゃんはもう何年も前に病死し、今はばあちゃん1人で住んでいる。

元々俺と距離を置いていた母は炎上を理由に……。


『これ以上、私を巻き込まないでちょうだい!』


 なんて台詞を俺に吐き捨て、さっさと自分の実家へと帰って行った。

我が子に向ける言葉にしては冷たいが……そもそもの原因は俺にあるから文句も言えない。

まあ、ばあちゃんは諸々の事情を知っているから……俺と音瑚のことは受け入れてくれたし……色々とサポートもしてくれているのでそんなに悲観することはない。


-------------------------------------


「じゃあ、ばあちゃん。 俺仕事に行くから音瑚のこと頼む」


「あいよ……」


 ばあちゃんの家に引っ越してから2ヶ月が経った……。

俺は家から3キロほど離れた所にある中学校で……再び教師として生徒達に体育を教えている。

道種学園と比べると規模は小さいし……設備や環境が整っていない。

田舎故に通っている生徒や勤めている教師の数はかなり少なく……素行が悪い生徒もちらほらいるから舐められないようにするのがかなりしんどい……。

とまあ、お世辞にも良い学校とは言い難いが……個人的にはエリートばかりの道種学園より生き生きとできる……元々エリートってガラじゃなかったからな……。

給料も雀の涙も良いところだが……これまでの貯金や千鶴から受け取った慰謝料もあるから贅沢さえしなければある程度の生活は維持できている。

何よりも教師を続けることができているんだ……あまり欲張ったことは言えない。


-------------------------------------


「はぁ……はぁ……はぁ……」


 そんなこんなで、慎ましくも幸せな新しい生活を送れるようになった俺だが……最近、夢見心地が悪い日が続いていた。


『パパぁ……』


 その夢と言うのが……大人になった音瑚が生まれたままの姿で俺や熊次郎に迫るという……いろんな意味で恐ろしい内容だった。

熊次郎は嬉々とした表情で音瑚の体を堪能し……俺は金縛りにでもあったかのように身動きができず成すがまま……。


「はっ!!」


 悍ましい悪夢から抜け出したいと必死にもがいている内に目を覚ます……毎回その繰り返しだ。

体中は汗だくで……呼吸はひどく乱れ……生きた心地すらしない。

夢とはいえ……あの種馬爺から音瑚を守ることができないばかりか……自分に迫ってくる音瑚を拒むことすらできないなんて……情けない。

まあ俺としては……まだ1歳の娘を大人にできる自分自身のイマジネーションにもドン引きだが……それは今は置いておこう。


「なんなんだよ……クソッ!」


 この悪夢がどういった理由で俺の脳に流れているのかはわからない……。

ただ1つ……はっきりしていることがある。


 ”ただの夢だと割り切ることができない”


 音瑚には熊次郎の……道種家の血が流れている。

息をするように身内同士で子供を作るあのイカれた一族の血が……。

道種家から離れたとして……俺が子育てを頑張ったとして……音瑚は真っ当に育ってくれるだろうか?

純粋に人を好きになって……純粋に幸せになってくれるだろうか?

熊次郎のような……歪んだ思考が芽生えないだろうか?

悪夢を見るようになってから……日に日に大きくなっていく将来への不安。

何度も締め付けてくる胸の痛み……。

やっぱり音瑚の中に熊次郎と千鶴の血が流れている以上……道種家からは逃れることができないのか?

俺は……どうすれば良いんだ?


次で完結にしたいと思います。

できれば今日中に仕上げたいので頑張ります。

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