池谷 大河⑧
大河視点……最終話です。
遅くなってごめんなさい。
「俺……音瑚を正しく育てて行けるのかな?」
ある休日の朝……。
いろんなものが積み重ねっていく内に……俺は思わず心に秘めていた弱音を漏らしてしまった。
誰に向けた言葉でもない……本当にただ口から出ただけの音だ。
「何をシケた顔してつまらないことを言ってるんだい?」
だが、俺の横でテレビを見ていたばあちゃんに聞かれたようで……呆れたと言わんばかりに左右に顔を振られた。
当然と言えば当然か……。
俺が音瑚を育てるなんて宣言しておいて……こんな無責任な弱音を吐いてしまえば……。
「いっいや……ごめん」
「音瑚ちゃんのことが可愛くなくなったのかい?」
「そんなことはない! そんなことはないけれど……」
「なんなんだい? 全く……言いたいことがあるならはっきり言いなよ、気持ち悪いねぇ」
煮え切らない俺にしびれを切らしたかのように……睨みを利かせるばあちゃん……。
俺は昔からばあちゃんの何もかも見透かしたようなこの目が苦手だ。
まるで頭の中を全て覗きまれているようない気分だ……。
この目に睨まれると……俺はどうも口が軽くなってしまう。
「実は……」
俺は結局……ばあちゃんに悪夢のことを話した。
蛇睨まれた蛙というべきか……単に俺自身が楽になりたかっただけかもしれない……。
「……って訳だ」
「……」
俺の話を一通り聞き終えると、ばあちゃんは何事もなかったかのようにまたテレビに視線を戻した。
「わかってるよ……。
夢くらいでウダウダ言うなって言いたいんだろう?
俺だってそう思っていけど……なんというか、踏ん切りがつかないんだ」
「はぁ……」
深いため息をつきながらリモコンでテレビを消したかと思ったら……唐突にばあちゃんはテーブルに置いていた自分のスマホを手に取り、どこかへと電話を掛けた。
トゥルルル……。
「あっ! みっちゃん?
急にごめんねぇ?……いや実はね?
ウチのバカ孫とひ孫と一緒にみっちゃんのお店に行きたいんだけど……。
えっ?……今日はお休み?
それで今は公園で嫁ちゃんと孫を連れて遊びに行っている?
じゃあウチらも行っていいかい?
”前言ってた件”のことで……。
そうかそうか……ありがとうね、みっちゃん。
じゃあまたあとでね」
ピッ!
一通り話し終えると……ばあちゃんはスマホを切って俺に向き直した。
「大河……今から音瑚ちゃんと公園に行くよ? 仕度しな」
「なっなんだよ、藪から棒に……」
「いいからさっさとしな!!」
ばあちゃんの迫力に逆らうことができず……俺は訳の分からないまま音瑚を連れて家を出るばあちゃんの後を追うはめになった。
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音瑚がグズらないか細心の注意を払いつつ歩くこと20分……。
俺が何度質問を投げかけてもばあちゃんは”ついてこい”としか返してくれず……モヤモヤしたまま足を進めるしかなかった。
そんなこんなで無心となって歩き続け……。
「着いた……」
小さな公園の前でようやくばあちゃんは足を止めた。
遊具はブランコと俺の背丈くらいの滑り台があるで……後は大きめの砂場やベンチがちょこちょこあるだけだから、公園と呼べるかどうかは微妙だがな……。
それでも利用者はいるようで……今も3歳くらいの小さな女の子が滑り台で遊んでいる。
横には母親らしき若い女性と祖母らしき高齢女性が見守っている。
「あら、いけちゃん。
おはよう」
なんて考えていると……俺達に気が付いた高齢女性が足早にばあちゃんの元へと歩み寄って来た。
間近で見ると……なんというか、肝っ玉母さんって感じだ。
口の悪いばあちゃんよりかは包容力がありそうに見えるがな……なんて口にすれば俺の命はないので心の中で留めた。
「おはよう、みっちゃん」
ばあちゃんも高齢女性にあいさつを返し……軽く手を振る。
「ばあちゃん……この人、知り合い?」
「あぁ……会うのは初めてだったね。
みっちゃんはばあちゃんの高校時代からの友達だよ」
「あっ! もしかして大河君?
あらまぁ……大きくなって……。
私の事、覚えてない?
何度かいけちゃんとウチの店でご飯食べに来てたんだけど……」
「あぁ……いえ、すみません。
ちょっと覚えてなくて……」
「まあ無理もないね……最後に会ったのは大河君が小学1年生くらいの時だったし……」
ということは15年以上も前ってことか…………。
そりゃあ……覚えてねぇわ。
「はぁ……。
あの……ばあちゃん。
もしかして……この人に会いにきたのか?」
「まあね……ここ最近、顔を合わせてゆっくり話す機会がなかったから。
みっちゃんの孫の顔も久しく見てなかったからね……」
まあねって……ばあちゃんにとっては大切な友達なんだろうけど……俺からしたらほぼ知らない婆さんなんだが……。
ここまで音瑚を抱えてきたのに……それはあんまりだろ?
「でもあんたに会わせたかったのはみっちゃんじゃなくて……あの子だよ」
「あの子?」
ばあちゃんの視線を追うと……その先には砂場に残された母娘がいた。
みっちゃんとやらが2人に手招きすると、母親が娘を抱えてこちらへと駆け寄って来た。
「みっちゃんの息子の嫁さんだよ……。
あの子ならあんたの話を色々聞いてくれるんじゃないかと思ってね……前々からお願いしていたんだ。
きっと……あんたの悩みとやらも少しは理解してくれるよ」
「それってどういう……」
どういうことかとばあちゃんに問う前に……。
「おばあちゃん! お久しぶりです」
「久しぶり! 元気そうで何よりだよ」
母親がばあちゃんにあいさつして問うタイミングを逃してしまった……。
「えっと……そちらの方は……」
「こいつはどうしようもないバカ孫で、この子は可愛いひ孫だよ」
ばあちゃんの紹介にものすごい落差を感じたが……とりあえず今は挨拶を優先しよう。
「あっ! どうも初めまして……孫の池谷大河です。
この子は娘の音瑚です。
どうぞよろしく……」
「初めまして……。
あたし……海野 蒼歌って言います。
この子は娘の奈美ちゃん。
こちらこそ……よろしくお願いします」
さっきは遠目だったからわからなかったが……間近で見るとすごく可愛い子だな。
目の前にいるみっちゃんの娘にしてはかなり若い……というか若すぎる。
娘と言うよりも孫と言った方がしっくりくるぞ。
黒髪はつややかで容姿もすごく整っている……本当に一児の母親かと疑いたくなるくらい肌に張りもある……まるで芸能人みたいだ。
はっきり言って……この子の旦那が少々妬ましく思えてしまう……。
まあそれは置いておいて……なんでばあちゃんは俺とこの子を引き合わせたんだ?
「とりあえず音瑚ちゃん達の面倒は私が見るから、あんたは蒼歌ちゃんに話を聞いてもらいな。
きっと……力になってくれる」
※※※
俺はひとまず音瑚をばあちゃんに預け、蒼歌さんと公園にベンチに腰を掛けた。
蒼歌さんも俺との話に専念できるようにと、奈美ちゃんをみっちゃんに預けてくれた。
預けた際にばあちゃんから……。
『蒼歌ちゃんが可愛いからって手ぇ出すんじゃないよ? あの子は人妻なんだから……』
なんて釘を刺された時はさすがに怒鳴りつけたい衝動に駆られたが……音瑚や奈美ちゃんがいる手前、それはどうにか堪えることができた。
仮にも孫をケダモノみたいに言いやがって……いつかあのババアに思い知らせてやる。
ちなみに蒼歌さんの旦那さんは今日、結婚式に出席するので不在らしい……。
「あう……」
「ぴーぶー」
視線の先にある砂場で音瑚と奈美ちゃんがじゃれ合っていた。
意思疎通しているのかよくわからんが……2人共なんだか楽しそうだ。
なんとも微笑ましい光景に……俺は思わず口元が緩んでしまった。
「大河さんって本当に音瑚ちゃんのことが好きなんですね~」
なんとも眩しい笑顔でストレートに俺を心を口にする蒼歌さん……。
そうなんだけど……口にされると恥ずかしいな。
「そりゃまあ……大切な娘ですからね。
あの子が幸せになることだけが……俺の唯一の活力ですから……」
「そうなんですか……素敵ですね」
「でも最近……本当にあの子を幸せに育てられるか……ちょっと自信なくなっちゃって……」
「……」
「蒼歌さん……SNSとかで見ましたか?
俺のことや道種家のこと……」
「まあそうですね……すごい騒ぎでしたから……」
「じゃあ知ってますよね?
俺と音瑚が血の繋がらない親子だってことも……」
「はい……」
「俺と音瑚は血縁上……赤の他人です。
だけど俺にとって……音瑚は大切な娘です。
それだけは誓って言えます……言えるんですが……なんかこの先の未来が不安になっちゃって……」
「……わかりますよ、その気持ち。
あたしも”同じ”ですから……」
「同じって?」
「実はあたしと奈美ちゃんも……血が繋がっていないんです」
「えっ?」
「奈美ちゃんは夫の前の奥さんの子供なんです……。
最初は言っちゃなんですけど……小さな子猫を可愛がるような……気軽な感覚で接していたんです。
夫も1人で育てるって息巻く割には頼りなかったし……放っておけないって面もあったかな。
「はあ……」
「でもある日から……奈美ちゃんがあたしのことをママって呼ぶようになったんです。
あたしのことを……本当のママみたいに甘えて来るようになったんです。
それでなんか……だんだんこの子のママになりたいって強く思えるようになったんです。
夫もあたしがいないと危なっかしいし……あたしが2人を支えてやるかって感じで家族になったんです」
「そう……だったんですか……」
なんかえらく軽いノリに聞こえてしまうな……。
まあ語らないだけで色々あったんだろうけど……。
「もちろんあたしは奈美ちゃんのことを自分の娘だと思っていますし……血が繋がっていなくてもこれからもたくさん愛そうと思っています。」
「まあ血の繋がらない子供を育てるって言うのは……口にするほど簡単じゃないですからね」
「いや、ちょっと違うなぁ……」
「違う?」
「うーん……大河さんにだから話すんですけど、実は奈美ちゃんも音瑚ちゃんと同じような生まれ方をしているんです」
「同じようなって?」
「奈美ちゃんは、夫の前の奥さんと……夫の息子の間にできた子供なんです」
「おっ奥さんと息子?」
「はい……」
そこから彼女は長い物語を語った……。
蒼歌さんの旦那さん……海野 潮太郎さんの元嫁は実の息子の性欲を解消したいと言う思いから関係を持ち……さらには息子の気持ちを自分に留めておきたい一心から奈美ちゃんを身籠ったそうだ。
だが元嫁とは対照的に……息子の方は母親のことをただの性欲のはけ口にしか思っていなかったらしく……あっさりと捨てられてしまったそうだ。
そして潮太郎さんに復縁を持ちかけるも当然の如く拒絶され……正気を失った元嫁は生まれたばかりの奈美ちゃんを潮太郎さんの目の前で殺そうとして逮捕されたそうだ……。
そして息子もまた……想い人だった蒼歌さんに拒絶されたことで様々な罪を重ねたことで逮捕され、今も刑務所に服役している。
そして1人取り残された奈美ちゃんを、潮太郎さんが引き取ったらしい……。
「……」
一通り話を聞き終えた俺は……絶句した。
家族に裏切られ……さらには裏切った家族が生んだ血の繋がらない子供を育てている。
経緯は若干違うが……俺と全く同じ境遇にいる人間が……こんな身近にいたなんて……。
俺はこの時ほど……運命ってやつを感じたことはない。
今日、潮太郎さんに直接会えなかったことが……本当に悔やまれる。
「夫は奈美ちゃんのことを心から愛しています……だけどその反面、どこか奈美ちゃんを無意識に受け入れきれないところもあるみたいです。。
本人に罪がないとはいえ……自分を裏切った家族との間に生まれた子ですから……。
それでも自分が父親になると決意したから……父親を下りる気は全くないみたいですけど……」
「その気持ち……なんかわかります」
口にこそ出さないが……俺も音瑚のことを心のどこかで拒絶している部分がある。
音瑚のことを愛しいと思うのは嘘じゃないけど……やっぱり千鶴と熊次郎の子供である事実を受け入れきれていないんだな。
父親としての義務だとか散々言ってしまったが……結局は上から目線の同情とあまり変わらないのかもしれないな……。
「それに近親者同士で生まれた子供ですから……なんらかの障がいが現れないかとか……歪んだ思考にならないかとか……どうしてもこの先の将来に不安を感じてしまうんです。
夫もあたしも……」
「そんな時……どうしてるんですか?」
「そうですね……。
あたしの場合は……とりあえず吹っ切ってます!」
「ふっ吹っ切る?」
「はい!
奈美ちゃんと遊んだり……好きな音楽を聞いたり……とにかく不安なんて忘れるくらい楽しいことをして吹っ切ってます!」
「でももし……不安が当たるようなことが将来起こったら……」
「うーん……その時は……」
「その時は?」
「……その時考えます!!」
単調なその回答に……俺は思わずベンチからずり落ちかけた。
おっ俺が1番聞きたかったことなのに……。
「いやそれって……ただの現実逃避なんじゃ……」
「まあそうかもしれませんけど……子供が将来どうなるかなんて誰にもわからないじゃないですか……。
子供の将来を考えるのはすごく大切なことですけど……あんまり深く考えすぎたら、疲れて倒れちゃいますし……不安だからって子供の何もかもを見守っていたら、子供は何もできないじゃないですか」
「まあ……そうかもしれないですけど……」
「だからあたしは……子供の将来のことはほどほどに考えつつ、子供との時間を楽しむことを重視しています。
楽しい思い出をたくさん作れば……きっと将来、この子は良い子になるって信じてますから……」
「そう……ですね」
雰囲気でなんとなくわかっていたが……彼女はマイペースというか、能天気というか……掴みどころがないな。
だけど不思議と……彼女の言葉が身に染みる。
彼女の前向きなこういう考え方は……見習うべきかもしれないな……。
※※※
「えっと……長々とえらそうに言っちゃいましたけど……あたしの話、役に立てました?」
「はっはい……参考になりました。
ありがとうございます」
それからも蒼歌さんに溜まっていた不安を吐き出せたおかげで少し気持ちが軽くなった。
蒼歌さんからもこれからの人生や子育ての参考になる話が聞けたので……貴重な時間だった。
「またなんか相談事があったら……いつでも来てください。
できる範囲でなら力になりますし……今度は夫にも話を聞いてもらいますから!」
「あっありがとうございます……」
この日以来……蒼歌さんは子育ての良き相談相手なり、後日会うことができた潮太郎さんとも同じような境遇にあったという共通点から馬が合い……色々話し合える友人関係を築くことができた。
音瑚も奈美ちゃんと仲良くなり……俺達は家族ぐるみで仲良くなれた。
将来への不安については未だ胸に残ったままだが……1人で抱えていた頃よりは随分楽になった。
そのおかげか……俺を悩ませていた悪夢も徐々に見なくなっていった。
全く……俺達を引き合わせてくれたばあちゃんには一生頭が上がらないな……。
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それから10年の歳月が流れ……音瑚は11歳となった。
内心ずっと危惧していた障がいだったが……幸いにもその兆候は現れず、音瑚は元気にすくすくと育っている。
音瑚を診てくれている医者からは奇跡だなんて言われたが……もしかしたら、音瑚のことを哀れんでくれた神様の施しなのかもしれないな。
とは言っても油断はできないが……このまま何事もなく成長してくれることを祈るばかりだ。
「それじゃあ音瑚……そろそろ行くぞ」
「うん!」
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そして休日である今日……俺は音瑚と一緒に病院に足を運んでいた。
受付を済ませ……俺は音瑚連れて”ある人”がいる病室を訪れた。
「あら……早かったわね」
ベッドで上半身だけを起こしている女性が俺達に気付き……視線を向ける。
「あぁ……音瑚にせっつかれて……」
「ママ!!」
俺が言い終える前に……音瑚が女性のいるベッドへとダイブした。
「コラッ、音瑚! 病室では大人しくしろって言っただろ?」
「まあいいじゃない……音瑚だって嬉しくてたまらないんだし……。
今くらい大目に見てあげましょうよ……”あなた”」
「ったく……お前は少し音瑚に甘すぎるぞ?」
そう……今俺達の目の前にいる女性は、俺の妻であり……音瑚の新しい母親でもある梨十菜だ。
実は俺……3年前に再婚したんだ。
梨十菜は俺と同じ学校に勤めている同僚の教師で……元々仲は良かったが、5年くらい前から交際に発展し……結婚に至ったわけだ。
千鶴の時と言い、何の因果かとは思うものの……俺は彼女との結婚に後悔はない。
梨十菜は千鶴と違ってエリートでもなければ特別美人って訳でもない……。
だけど彼女には……誰よりも温かな思いやりがある。
俺の過去や音瑚の出生も……彼女は偏見も嫌悪感も抱かずに全て受け入れ、俺達の家族になりたいと言ってくれた。
教師としても……彼女は生徒達から慕われており、結婚を発表した時には同僚の教師達と祝ってくれたな。
結婚式には、ばあちゃんや梨十菜のご両親を筆頭に……いろんな人達が俺達を祝福してくれた。
母さん……龍男……義父改め一馬さん……道種学園の元同僚達……俺が道種学園でしごきまくった元生徒達……海野一家……。
改めて思うと……俺って人に恵まれているな。
「どうかしたの? ぼんやりして……」
「いや……なんでもない。
それより音瑚……”こっち”の挨拶がすんでないぞ?」
俺は梨十菜にしがみつく音瑚を持ち上げ……すぐそばの保育器で眠っている新たな命……昨日生まれた”俺と梨十菜の娘”の顔を覗きこませた。
「ほら音瑚……お前の妹だぞ?」
「妹?」
「そうだ……音瑚はお姉ちゃんになったんだぞ?」
「お姉ちゃん? 音瑚……お姉ちゃん?」
「そうだ……お姉ちゃんだ」
初めての顔合わせだから実感が湧かないのだろう……。
無理もないなと思っていると……。
「お姉ちゃん……お姉ちゃんだよ?」
音瑚はまだ名もない妹の頭にそっと手を乗せ……まるであやすかのように囁く……。
妹も姉に会えた喜びを表すかのように……小さな指を動かしている。
「えへへ……」
妹の反応に嬉しくなったらしい……音瑚の顔から笑顔がこぼれる。
それはまさに……本当に血の繋がった姉妹のようだった。
たまらなく愛しくて……守りたいと強く思う。
なんか……父さんが俺を見捨てなかった理由が、今になってわかった気がする。
「……」
2人の自然に惹かれる光景を目の当たりにして……俺は思った。
家族になるのに……”血”など関係ないのだと……。
ただお互いに家族になりたいって思えたら……それはもう家族なんだと……。
そして……親がすべきことは子供を優秀に育てることではなく……子供を幸せに育てることだと……。
それは至極当たり前なことかもしれないが……熊次郎のようにそれすらできていない”親”もいる。
だから俺は……”血”にも”子供の優劣”にもこだわらない。
今はただ……もう1度掴むことができたこの新たな幸せを守れる夫で……父親でいたい。
これからも……ずっと……ずっと……。
これにて本作を完結したいと思います。
いやぁ……ようやく終わりました。
実を言うと……蒼歌とのくだりがやりたくてこの話を始めたんですよね。
それがここまで長くなるとは……。
本当はこれから音瑚を育てていくぞって形で大河は独身のまま完結させるつもりでしたが……やっぱり最後くらい人並みの幸せをもう1度掴んでも罰は当たらないかなと思ってこうしました。
ひとまずやりたいことはやったので……ずっと放置していた他の作品の更新を再開したいと思います。




