偽りの教師
「親に愛されてないとかどうでもいい!!!俺がトパーズを愛してる!!それでいいだろ!なあ!!!?」
「はぁ…………?????…はぁー……若者はいいねぇ。そうやって恋愛だ青春だってうつつをぬかせてて……反吐が出る」
ジノは心底呆れたように肩をすくめ、吐き捨てるように溜息をついた。
「……………」
ルビーは顔を伏せ、小声でぶつぶつと何かを呟く。
「っ!?ルビー!! ダメですそれは!!」
「はぁ、もういいや。飽きちゃった。真面目に仕事しよ。バイバイ、くそガキども」
ジノが去ろうと足を一歩踏み出した——その瞬間。
ガシッ!!
「……ッ」
ジノの肩を、後ろからルビーの手が抑える。
一切の表情を消した真顔でゆっくりと振り返り。
「……なんだよ、普通科の雑魚」
「……その舌、丸焦げにしてやるよ」
ルビーの冷徹な一言と同時に、ジノの口内で爆発的な火柱が上がった。
ボッ!!!!
「ーーーーー!!!!?????」
声帯と舌を内部から直接焼き尽くされ、叫び声すら言葉にならず、ただ空気が漏れる不気味な音だけが響く。
先ほどまで見下していたジノの顔が激痛で凄惨に歪み、目を剥き出しにしながら、彼は床に散らばる禁書の上を無様に転げ回った。
「ーーーーーーーー!?!?!!?」
ジノが必死に喉を押さえて悶絶する隙を、ルビーは見逃さない。
「トパーズ! 今のうちにこいつを拘束しよう!」
「っ……! ええ、わかりましたわ!!!!」
ルビーの叫びでハッと我に返ったトパーズが、間髪入れずに強力な拘束魔法を解き放つ。無様に転げ回るジノの体に、光の鎖が容赦なく巻きつき、その動きを完全に封じ込めた。
あんな無茶な魔法……! 私は気がついていたのに……止められなかった……!!!とめられなかった……っ!!
後悔とともに、トパーズの脳裏にほんの数分前の光景が巻き戻っていく。
────
「はぁー……若者はいいねぇ。そうやって恋愛だ青春だってうつつをぬかせてて……反吐が出る」
「……………」
ルビーは顔を伏せたまま、小声でぶつぶつと何かを呟き続けている。
その足元、散乱した古い禁書から立ち上る不穏な魔力の揺らぎに、トパーズはハッと息を呑んだ。
(……え!? まさかルビー、さっきの言葉は……ジノの注意を逸らすためのブラフ……!?)
「ルビー!! ダメですそれは!!」
トパーズの悲痛な叫びが空間に響く。だがジノはそんな彼女の焦りにも興味を示さず、呆れたように背を向けたのだ──。
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「げぇ……がふっ……! ぐっ……」
旧保管庫の端で、激しく吐血を繰り返すルビー。
「あんな無茶な魔法使うからです……! だから禁術なのです……! あなたの喉だって……!」
トパーズは駆け寄り、胸を締め付けられる思いで苦しむルビーに寄り添う。ジノの声帯を焼き尽くした凶悪な禁術の反動は、そのままルビー自身の体をも内側から蝕んでいた。
「ルビー!? 大丈夫なの……!? うう、どうしよう……!」
溢れる涙を拭いもせず、桃が震える手でルビーの手を必死に握りしめる。
「医務室は……頼れるのがいないから、部屋で我慢してくれ、ルビー」
蒼は苦々しい表情で静かにルビーをおぶい上げると、しっかりと身体を支えた。
トパーズは一歩前に出ると、拘束魔法で縛り上げられ、声も出せずに絶望的な目でこちらを見上げるジノを見下ろした。
「待ってください。こいつはお父様に会うまで、ここに幽閉します。……1ヶ月くらい、ここで寝ていてもらいましょう」
瞳から怯えや迷いは完全に消えていた。静かで、冷徹な覚悟を湛えた声が旧保管庫に響く。
「さよなら、偽りの教師……」
冷たく言い捨てると、トパーズは二度と振り返ることなく、仲間たちと共に重い扉を閉ざしたのだった。
医務官ジノ、書いてて1番筆が乗ります




