休め!
今日の授業終了を告げる鐘が、校舎中に高く響き渡った。
クラフト大会の作業の合間を縫って、トパーズの部屋に代わる新たな「秘密基地」候補を探し回ったものの、これといった場所は見つからず、結局どこも確保できないまま時間だけが過ぎてしまった。
行くあてのない4人は食堂に長居するしかなく、夕暮れ時のテーブルを囲んで重苦しい沈黙に包まれていた。
「……はぁ。隠れ家どころか、情報の糸口すら掴めないなんてね……」
蒼が疲れたように額を押さえ、眼鏡を外してレンズを拭く。
「どうすんだよこれ。図書館の一般蔵書は全滅だし、場所も決まらねぇし……完全に手詰まりじゃねーか」
ルビーが不機嫌そうに舌打ちをし、腕を組んで天井を仰ぐ。焦りと重苦しい空気がチーム全体に重くのしかかり、トパーズも医務官への苛立ちで眉間にシワを寄せたままだった。
その時――。
パンッ!と自分の両頬を叩いて、桃が勢いよく立ち上がった。
「仕方ないね!! 今は休めってそんなタイミングなんだよ!! 各自寮に戻って休む!!うん!全員休め!!!」
「「「……えっ!?」」」
桃の力強い宣言に、3人は思わず目を丸くして顔を見合わせた。
「どうもこうもありません! これ以上ここで頭を悩ませてても、疲れちゃうだけで良いアイデアなんて浮かばないよ! 今日はもう解散! 各自ゆっくり体を休めて、明日また出直そう!」
腰に手を当ててフンスと胸を張る桃の言葉に、蒼がフッと毒気を抜かれたように笑った。
「……ふふ、そうだね。桃の言う通りだ。焦って煮詰まっても意味がない」
「チッ……まあ、桃にそう言われちゃ断れねえな。今日はもう寝るか」
ルビーも苦笑しながら肩をすくめ、トパーズも「……まあ、あのおっさんの顔を思い浮かべてイライラするよりは、寝た方がマシですわね」とため息をついて立ち上がった。
行き詰まった焦りを桃の明るさでリセットするように、4人はそれぞれの寮へと散っていくのだった。




