絶対に絶対に
はぁ……結局、中央図書館は何の成果もなし、ですか」
図書館を後にしたトパーズは、重い足取りで歩きながら深いため息をついた。
「まあな。でもこれでハッキリしたじゃねーか。とりあえず表にある本に載ってねぇってことは、本命はやっぱり『禁書庫』だ」
ルビーが頭の後ろで手を組みながら鼻で笑う。
「言うのは簡単ですけれど、あそこは特別な鍵がなければ入れない場所ですわよ。どうやって侵入するつもりなんですの……」
トパーズが眉をひそめて考え込もうとした。
目の前を気怠げで気楽な鼻歌が聞こえてきた。
白衣のポケットに両手を突っ込み、背中を少し丸めた男が、あくびをしながら廊下の角からひょっこりと姿を現す。
医務官だ。
「あ~ど〜も〜インペリアル様とお友達がよく倒れる普通科くん」
「くっ、なんですの…」
トパーズとルビーは瞬時に足を止め、身体を固くした。
「……なんだよ、医務の『おっさん』か。こんなとこで何してんだ?」
ルビーが昨日の食堂のことを思い出して睨みつける。
医務官はへらへらとした笑みを浮かべ、頭を掻きながら肩をすくめた。
「おっさんは酷くない? まだそんな歳じゃないんだけどなぁ。ローズくんとサファイアくんの様子だって聞きたいし…それにねぇ…若者がまた誰かの失敗で倒れてないかと思うと心配で仕事してるだけだよーん」
「お前っ…また俺らをバカにするのか!!」
ルビーの目元が一気に鋭くなった。
飛びかかるかとしてるルビーをトパーズがすっと手を出し静止する
「……教えていただいたおかげで昨日のディナーは大変美味しく頂きましたわ、食堂に行けて良かったですわ!!」
「やだなあ、そんな怖い顔しないでよ。刺激的なディナーだったでしょ?あーあ、思い出したら腹減った。今日のご飯何かなぁ」
医務官は二人の横を通り過ぎる際、トパーズとルビーを一瞬だけ横目で見やり、口元をにやりと歪めた。
そのまま背中を丸めたまま、手をひらひら振り歩き去っていく。
「……チッ、なんなんだあいつ。気味が悪ぃな……」
ルビーが去っていく白衣の背中を睨みつけ、吐き捨てるように呟いた。
「あいつ……絶対に絶対にクビにしてやりますわ……」
トパーズは強く拳を握りしめた。
「クビにするのは大賛成だが……まずはあいつの顔を見なくて済む場所に行くぞ」
ルビーが肩をすくめ、トパーズを促すように歩き出す。




