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魔法のない普通科で。    作者: ワイ
キミの思いと桃
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おバカですか!?

「ルビー、怪しい本は見つかりましたの?」

トパーズが山のように積み上がった『魔法革命史』の古書から目線を上げず、ページを繰る手を止めないまま静かに尋ねた。

「おう、今のところこの3冊だ。表面の魔力がかなり薄れてるが、19世紀頃の記述があるっぽい。……けどよ」

ルビーは抱えていた分厚い本をコトンと机に置き、ため息をつきながら自分の手をじっと見つめた。

「やっぱり1冊ずつ手作業で魔力感知をかけてると、途方もない時間がかかるな……。なぁー、図書館に入る前にも言ったけどさ、ここでトパーズが魔力感知を全力でブッパしちゃえば一発なんじゃねーの?」

「なっ……!? おバカですか!? そんなことをしたらまた大事になってしまいますわ!」

トパーズがバッと本から顔を上げ、眉をひそめてルビーを思いきり睨みつけた。周囲の生徒たちがビクッと振り返り、トパーズはハッと口元を抑えてから、ひそひそ声でルビーに詰め寄る。

「図書館に入る前にも言いましたでしょう!? 大規模な感知魔法なんて放ったら、貴重な古書に施された保護魔法まで一斉に反応して騒ぎになりますし、何より中にいる生徒のみなさんにも大迷惑がかかりますのよ! ルビーは大人しくわたくしの指示通りに動いてくださいまし!!」

「わーったよ、冗談だって! ちゃんと1冊ずつ見てるから怒るなって……」

ルビーはやれやれと首をすくめ、再び本棚の奥へと手を伸ばした。

かつては静寂そのものだった共同図書館だが、クラフト大会が近づいている今では、手分けして資料探しに没頭する生徒たちの熱気と話し声で満ちている。

(……でも、トパーズの言う通りだな。目立つ真似をして図書室を追い出されたら、新月までの調査どころじゃなくなる)

ルビーは集中し直し、指先にほんのわずかな魔力を通しながら、古い背表紙を一つひとつ慎重になぞっていく。

「……ん? トパーズ、ちょっとこれ見てくれ」

ルビーが書庫の最下段から引き出した本をパラパラとめくり、ため息をついた。

「……いや、ダメだ。これもただの古い記録だな。……ちっ、結局ここには何もねぇか」

トパーズも手元にあった最後の古書を静かに閉じ、深くため息をついた。

「ええ……ここにある一般蔵書の中には、目ぼしい情報は残っていませんわね。ただの歴史資料や保護魔法の痕跡ばかりですわ」

「やっぱりか……。」

ルビーは頭の後ろで手を組み、天井を見上げた。

「となると、次は新棟図書館で……本命は例の『禁書庫』か……。あそこに入る手立てが見つかるまでは、ヘタに動いて怪しまれるのも危険だな」

「ええ、その通りですわ。ここで焦ってボロを出しては元も子もありません。禁書庫への道筋を確保するまでは、余計な調査は一度控えましょう」

トパーズは積まれた本を丁寧に戻しながら、キリッとした眼差しでルビーを見つめた。

「ひとまずは一旦引き上げて、桃と蒼のオルゴール制作の進捗を確認しに行きますわよ」

「おう、そうだな! あいつらの作業も気になってたところだし、戻るか!」

ふたりは軽くうなずき合い、図書館をあとにした。

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