おいしい…!
「ぐくうぅ……流石にお腹も空いたよ……」
桃の盛大なお腹の音に、ルビーが「ハハッ!」と爆笑し、4人はテーブルの上に料理をもらってきた、焼きたての大きなパン、生ハムの盛合せ、湯気立つスープパスタ、グラタンに肉料理と、溢れんばかりのごちそうが並ぶ。難解な謎解きから一転、ガッツリ腹ごしらえタイムの始まりだ。
「サファイアが実際に飛ばされた時のことも思い出そうよ」
桃は焼き立てのパンにジャムをたっぷり塗り、大きな口でパクッと頬張った。
「もぐもぐ……んぐ、おいしい……!」
「あいつは俺が羽交い締めにしてないといけないくらいパニック起こしてたな」
ルビーは分厚い肉塊に豪快に食らいつき、大口で咀嚼しながら手だけを伸ばす。
「あっ、そっちのジャムと生ハム取って。パンに全部挟んで食うから」
「サファイア、何か叫んでましたわね? ちゃんと聞き取れまして?」
トパーズはスープパスタをフォークにどっさりと巻きつけ、上品(?)に一気に口へ運んだ。
「ちゅるり、もぐもぐ……ん」
「『俺がローズを絶対助ける!』って言ってたぜ。がぶっ、むしゃむしゃ! うめえ!」
ルビーが生ハムとジャムをドッサリ挟んだ特大サンドイッチを口に押し込みながら事もなげに言うと、蒼は顔を真っ赤にして小さくなった。
「も、もう……! 自分の話じゃないけどむず痒い!!」
桃は口いっぱいにモグモグしながら蒼を愛おしそうに見つめ、グラタンに手を伸ばす。
「……ねぇ蒼、あっちで元気だった? 私が助けた女の子、ちゃんと無事だった……?」
「ああ、もちろんだよ。君が身を挺して守ったおかげで、怪我ひとつなかった。本当に無事だよ」
蒼の優しい言葉に、桃はほっと胸を撫で下ろし、とろーりチーズのグラタンを大きな一口でパクリ。あつぅぅふーふー
「茜と琥珀も心配しただろうな……。琥珀なんてすごいもんよ、あの日、どこから集めたのか分からないくらい沢山のお医者さんを連れてきて、ローズを見せてたしさ」
「琥珀ならやりかねない………」
桃は視線を外すと、次は大きめのローストビーフをパクリと一口で口に放り込んだ。
「そういえば……私が川に落ちた日って、新月だった?」
ふと思い出したように桃が尋ねると、が追うようにスープをゴクゴクと飲み干す。
「ちゅるり。……んぐ」
「新月? いやー、そこまでは覚えてなかったなぁー。むしゃむしゃ、パンおかわり!」
蒼がスープに浸したパンを豪快に喉へ放り込みながら答える。
その時、隣のテーブルで優雅にお茶をしていた普通科の上品な生徒が、呆れ果てた顔でトパーズへ声をかけてきた。
「……トパーズ様〜? お言葉ですが、流石に『食べる』か『喋る』かにしませんこと……? 頬袋を膨らませてスープを『ちゅるり』と啜りながら、歴史とパニックの会話をなさるのは……その、大変格調高くありませんわ……!」
「あら……失礼」
トパーズは口の中に残っていたお肉をサッと飲み込むと、即座にナプキンで口元を拭い、何事もなかったかのように完璧なすまし顔を作ったのだった。




