知りたいですの?
キンコンカンコン……と、学園全体に授業終了を告げる鐘の音が響き渡った。
この鐘を合図に、その日のすべての作業や活動は直ちに停止しなければならないという厳格なルールを作った。
「ほら、そこの方も本日はもうお終いですわ! 気持ちは分かりますけれど、お休みもなさらないと効率は上がりませんわよ?」
トパーズは列車の周囲にまだ残っていた他のチームの生徒たちに向かい、あまりにも完璧な笑顔と気品溢れる声で優しく声をかけて回った。彼女のあまりの説得力と「ごもっとも感」に押され、生徒たちは素直に作業を切り上げて退散していく。
「……今更だけど、トパーズって何枚舌なんだ……?」
遠目からその光景を見ていたサファイアが、引きつった顔でボソッと呟いた。
「敵に回ってたらと思うと恐ろしいな……」
ルビーも腕を組んで深く頷き、心底から寒気を覚えたようにブルッと体を震わせる。
そんな二人の陰で——
カチャカチャカチャカチャ……。
「……桃! あなたもやめてくださいまし!!」
他の生徒を追い払って戻ってきたトパーズが、未だに夢中でドライバーを動かし、カチャカチャと音を立ててオルゴールを解体し続けている桃を見つけて悲鳴を上げた。
「全員に指示を出した手前、私たちがルールを破っては示しがつきませんわ! 公平にお願いしますわ!!」
「えへへ……ごめんなさい……」
トパーズに両頬をぺちっと挟み込まれ、桃は工具を置いたまま「えへへ」と気まずそうに照れ笑いを浮かべるのだった。
「ててててん! 魔法風呂敷〜〜! これに包むとなんでもかんでもしまえちゃうんだ〜〜!こっちはハイパーテントー中は超広くて防音耐火なんでもありの優れものなんだ〜もうこのテントは閉まっちゃおうね」
青たぬき風の効果音を口ずさみながら、桃は広げた風呂敷の上にバラバラになったオルゴールの部品や工具をポンポンと放り込み、るんるんで結び目をキュッと結んだ。すると、巨大な資材や工具の山が、まるで嘘のように手のひらサイズの小さな包みへと凝縮されていく。
その様子を感心したように眺めていたルビーが、ふと遠い目をしてポツリと呟いた。
「これ、俺の部屋にもあればいつも綺麗だったろうになぁ……」
「私も同感……」
「ってかさ……すべてのチームにこの魔法風呂敷やテントを配給するって、一体どんだけの資金かけてんだ……?」
サファイアも目の前で小さくなった包みをまじまじと見つめ、思わず引きつった顔で呟く。魔法道具としての価値を考えれば、全チーム分を揃えるなど正気の沙汰ではない金額になるはずだ。
「うふふ、知りたいですの……?」
トパーズが杖を握りすべてを見透かしたような妖しい微笑みを浮かべて二人に近づいてくる。コンテストの主催者であり、学園の権力と資金を握る彼女の背後に、底知れない「財力」の影がチラリと見えた。
「……遠慮します……」
サファイアとルビーは同時に一歩後ずさりし、サッと目を逸らすのだった。




