女子寮?
「何も、私の『魔法科寮』に来てくれとは言っていませんわ」
トパーズはスープを上品に口へ運ぶと、呆気にとられる桃たちを見てくすりと微笑んだ。
「私の部屋は『普通科寮』にあります。……普段使っている入口こそ魔法科寮側の重厚な門ですけれど、私の部屋は普通科の寮に繋がっておりますの。私の私室は、ちょうど普通科寮の最上階の角部屋にあたる場所ですわ」
「「「えぇぇぇぇッ!???」」」
桃とルビー、サファイアの声が綺麗に重なった。あまりの衝撃に、周囲の生徒が何事かとこちらを一瞬振り返るほどだった。
な、なんということ——!
一週間もの間、夜な夜な図書室で頭を抱え、どうやってセキュリティの厳しい魔法科寮に忍び込むかを必死に議論していたというのに。
目と鼻の先、自分たちが毎日寝起きしているまさに「同じ屋根の下」に、彼女の部屋があったのだ。
「灯台下暗し、とはまさにこのことですわね」
くすくすとおかしくなさそうに笑うトパーズを前に、ルビーは脱力したようにガックリとテーブルに伏し、サファイアは眼鏡を押し上げながら深ーい溜め息をついた。
「……なるほど。魔法科エリアと普通科エリアが魔法で接続されているポイントがあるわけですね。それなら僕たちでも警備に引っかからずにアクセスできる」
「そういうことですわ。今日の消灯時間後、普通科女子寮最上階の私の部屋……『301号室』へいらしてくださいな。必ず三人でいらしてくださいね」
トパーズはそう言い残すと、トレーを持って優雅に立ち上がった。
「普通科女子寮! そっか、それなら私はいつだって行けるじゃない、よかった!」
桃が無邪気に胸を撫で下ろす横で——。
「「女子寮????」」
ルビーとサファイアは顔を見合わせ、愕然とした表情で固まっていた。




