↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法のない普通科で。    作者: ワイ
追憶と残響の桃
147/148

番外編 私たちにも守らせて

「はいあーーーん、うん、もうなーーーんも心配しなくて良いわよ! ルビーくん良く辛い治療も耐えたわね、よしよし」

ポンポンと背中を叩いて「完治!」とにこやかに告げる医務室の先生。

「長かったわね……本当にありがとう、ルビー…」

こうなった原因を昨日のことのように覚えているトパーズは、目元に涙を浮かべる。

「あの能天気な声にまた悩まされるのか………」

はぁ…と額を押さえながらも、サファイアの表情には隠しきれない安堵が滲んでいた。

「久しぶりにルビーの声が聞けるんだね! あのねルビー、言って欲しい言葉があるんだ」

潤んだ瞳でルビーを見上げるローズ。

「おう、お前らおかえり。……あー、やっと自分の声で言えたわー」

ニッと八重歯を見せて笑うルビー。

「ただいまっ…….!!」

「まだローズが何も言ってないのに、言って欲しい言葉が分かるのか……。流石は幼馴染。いや、僕も分かったけどさ」

ため息混じりにサファイアが笑う。

「さぁさぁ、もう昼休みなんだし、これからは好きなものも食べていいんだから! しんみりしてないでご飯行ってきなさい!」

先生は男子二人の背中をバンと叩き、医務室から押し出した。

ーー食堂

「それで、産業革命の負の遺産の話なんだけど」

真剣な眼差しで切り出すトパーズ。

「えー〜、今その話かよ〜。せっかく何でも食べられるようになったのに……うわっ、うまっ!」

エビフライを頬張り、久々の味覚に感動するルビー。

「本当にやるの……? 死者との会話…?」

話の重さとは裏腹に、おにぎりを伸ばす手が止まらないローズ。

「二人から琥珀のかぎ針の話を聞いたが、壮絶だったんだろ? 誰かがやらなきゃいけないのは分かっているが……」

インペリアルトパーズは国の貴族だ。理解はできても、気持ちがついていかないサファイア。

「ふふ、ごめんね二人とも。わたしの立場だからやらなきゃって気持ちももちろんあるけれど……でも、これがわたしの使命だってあの時思っちゃったのよ」

困ったように微笑むトパーズ。

「なら、オレも連れてけ」

「「「!?!?」」」

「もう魔力を無効にできる桃も蒼もいないんだ。誰かが止めなきゃだめだろ。テレパシーで止めてやるしか方法が無いんだしな」

ルビーはエビの尻尾まで嬉しそうに口へ放り込んだ。

「っ…ルビーの言う通り、一理あるわ………お願い、一緒に来て」

トパーズの掲げるカップの手が、かすかに震えていた。 その上から、ルビーの手がスッと重なる。

「任せとけよ。そうすれば、ずっと一緒にいられるだろ」

ニッと無邪気に八重歯を覗かせるルビー。

「……っ! 本当に、そういうところよ……!」

トパーズは勢いよくそっぽを向くと、照れ隠しのようにスコーンを口へ運び、ミルクティーで流し込んだ。

「ねぇ、サファイア。私たちが向こうでやってきたこと、ここでもできるよね?」

「ああ。学園なら糸を作る撚糸機ねんしきもある。スカーフの時より、もっと強い魔法を込められるはずだ」

ローズとサファイアが視線を交わし、真剣な瞳で二人を見つめた。

「私たちが最強の防具を作る。神父さまが着ているものよりずっと強靭な服を、糸から紡ぎ上げるから……2人を私たちにも守らせて!」

「ありがとうローズ…」

驚きながらも愛おしさのこもった声を出すトパーズ

「まずは対死者用の魔法を調べるところからだな」

サファイアがメガネを光らせた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。