わたし達も帰りましょ
ずっと楽しみにしてたんだ!
みんなと遊べて楽しいんだよ!
そろそろお迎えの時間だ、早くこないかなー!
「あ! ルビー、トパーズっ、お、おはよー……」
翌朝。ホテルのロビーで合流した桃は、なぜかぎこちなくよそよそしい態度をとっていた。
「おはよう……」
隣に立つ蒼も、顔を下へ向けたまま視線を合わせようとしない。
「あら、おはよう? "ゆうべはおたのしみ"でしたね?????」
トパーズは悪戯っぽく口元を緩め、意味ありげな視線を二人へ向けた。
『? お楽しみってなんだよ?』
不思議そうにするルビーの声を拾い、トパーズはさらに笑みを深める。
「……ですって? ふふふ、知りたい? 知りたいわよねー?」
「「あーーーーあーーーー!!」」
焦り散らかした蒼が慌ててルビーとトパーズの手を引き離しテレパーシーをやめさせる、桃がトパーズの口を両手で塞ぐ。
「本当にそんなんじゃないんだってばぁ!!」
顔を真っ赤にしながら、半泣きで叫ぶ桃であった。
ホテル内のレストラン――。
「あら、このスコーン、おばあちゃまが作ってくれた味にそっくりだわ!」
ミルクティーとスコーンを同時に味わいながら、トパーズは幸せそうに頬をゆるめる。
『やっぱり外に出かけたら、色々な食べ物を味わっておかなきゃ損だよな〜。あー、早く治らねーかなーこれ』
「……ですって? いいじゃないの、これから何回でも行きましょう」
『サンキュー!卒業楽しみだわ!』
ルビーはニコッと笑みを返した。
「あら? 二人は食べないのかしら? それとも、ゆうべの……」
「「食べます!! 食べます!!!!!!」」
桃と蒼は声をそろえて叫び、慌ててナイフとフォークを動かした。
「やっぱりレストランもいいけど、学食のサンドイッチやパンも美味しいよねぇ」
『オレは早くエビフライが食いてえわー。衣なんてまだ絶対に食べられないけど……』
「……ですって? そうね、まだエビのビスクで我慢して頂戴。私は新しく買った茶葉が部屋に届いているはずだから、それが飲みたいわ」
「みんな食い意地が張りすぎだろ……今かなり食べたばかりじゃないか。どうせ学校に戻ったって、今日の授業は力学だぞ? 桃? ルビー?」
メガネのブリッジをくいっと押し上げながら呆れる蒼。
「なんで外に来てるのに授業の話なんて……あっ……」
桃が言葉を詰まらせ、全員で顔を見合わせた。
「「「『あっー!』」」」
ーー郊外
「子供が帰りたい、みんなと遊びたいって言ったら……ここしかないでしょ!」
「はぁ……なんでもっと早く気がつかなかったんだろう……」
「まぁ、私たちはお父様に頼んで脱出している立場だからね。盲点だったわ」
『…なぁ、多分これで最後だろ?オレも行かせてくれ』
「そうね。負担もかなり減ったから、大丈夫よ。……じゃあ、始めるわね」
◇
あっ! 学校だ!! ぼくたち本当に帰れたんだ!! あっ! お兄ちゃんもまた来たんだ!
「よっ! 帰れたじゃねーか!」
「すぐに学校って気づいてあげられなくてごめんね」
ううん! 帰れると思ってなかったから嬉しいよ! ここはお父さんもお母さんも迎えに来てくれるし、友達もいるし、先生も面白いんだ!! お姉ちゃん、ありがと!
「ねぇあなた達の他にも道具に残ってる人っているの?」
うん!多分みんなも帰りたいんじゃないかなー?
「よかったら、わたしに手伝わせてほしいの」
そうなの!?みんなも喜ぶよ!!そうだ、ここのみんなが言ってたんだけどね……ごにょごにょ……えへへ、またね! バイバイ!
◇
「っ……!!! ………っ!」
「トパーズ!!! 大丈夫!?」
戻ってきたトパーズの大粒の涙が浮かんでいた、ルビーの目にも光るものがある。
「大丈夫よっ…!わたし達も帰りましょ学校に…」
ナニがとは言いませんがご想像にお任せします。




