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魔法のない普通科で。    作者: ワイ
追憶と残響の桃
134/148

わたし達も帰りましょ

ずっと楽しみにしてたんだ!

みんなと遊べて楽しいんだよ!

そろそろお迎えの時間だ、早くこないかなー!

「あ! ルビー、トパーズっ、お、おはよー……」

翌朝。ホテルのロビーで合流した桃は、なぜかぎこちなくよそよそしい態度をとっていた。

「おはよう……」

隣に立つ蒼も、顔を下へ向けたまま視線を合わせようとしない。

「あら、おはよう? "ゆうべはおたのしみ"でしたね?????」

トパーズは悪戯っぽく口元を緩め、意味ありげな視線を二人へ向けた。

『? お楽しみってなんだよ?』

不思議そうにするルビーの声を拾い、トパーズはさらに笑みを深める。

「……ですって? ふふふ、知りたい? 知りたいわよねー?」

「「あーーーーあーーーー!!」」

焦り散らかした蒼が慌ててルビーとトパーズの手を引き離しテレパーシーをやめさせる、桃がトパーズの口を両手で塞ぐ。

「本当にそんなんじゃないんだってばぁ!!」

顔を真っ赤にしながら、半泣きで叫ぶ桃であった。


ホテル内のレストラン――。

「あら、このスコーン、おばあちゃまが作ってくれた味にそっくりだわ!」

ミルクティーとスコーンを同時に味わいながら、トパーズは幸せそうに頬をゆるめる。

『やっぱり外に出かけたら、色々な食べ物を味わっておかなきゃ損だよな〜。あー、早く治らねーかなーこれ』

「……ですって? いいじゃないの、これから何回でも行きましょう」

『サンキュー!卒業楽しみだわ!』

ルビーはニコッと笑みを返した。

「あら? 二人は食べないのかしら? それとも、ゆうべの……」

「「食べます!! 食べます!!!!!!」」

桃と蒼は声をそろえて叫び、慌ててナイフとフォークを動かした。


「やっぱりレストランもいいけど、学食のサンドイッチやパンも美味しいよねぇ」

『オレは早くエビフライが食いてえわー。衣なんてまだ絶対に食べられないけど……』

「……ですって? そうね、まだエビのビスクで我慢して頂戴。私は新しく買った茶葉が部屋に届いているはずだから、それが飲みたいわ」

「みんな食い意地が張りすぎだろ……今かなり食べたばかりじゃないか。どうせ学校に戻ったって、今日の授業は力学だぞ? 桃? ルビー?」

メガネのブリッジをくいっと押し上げながら呆れる蒼。

「なんで外に来てるのに授業の話なんて……あっ……」

桃が言葉を詰まらせ、全員で顔を見合わせた。

「「「『あっー!』」」」


ーー郊外


「子供が帰りたい、みんなと遊びたいって言ったら……ここしかないでしょ!」

「はぁ……なんでもっと早く気がつかなかったんだろう……」

「まぁ、私たちはお父様に頼んで脱出している立場だからね。盲点だったわ」

『…なぁ、多分これで最後だろ?オレも行かせてくれ』

「そうね。負担もかなり減ったから、大丈夫よ。……じゃあ、始めるわね」


◇


あっ! 学校だ!! ぼくたち本当に帰れたんだ!! あっ! お兄ちゃんもまた来たんだ!


「よっ! 帰れたじゃねーか!」


「すぐに学校って気づいてあげられなくてごめんね」


ううん! 帰れると思ってなかったから嬉しいよ! ここはお父さんもお母さんも迎えに来てくれるし、友達もいるし、先生も面白いんだ!! お姉ちゃん、ありがと!


「ねぇあなた達の他にも道具に残ってる人っているの?」


うん!多分みんなも帰りたいんじゃないかなー?


「よかったら、わたしに手伝わせてほしいの」


そうなの!?みんなも喜ぶよ!!そうだ、ここのみんなが言ってたんだけどね……ごにょごにょ……えへへ、またね! バイバイ!



◇



「っ……!!! ………っ!」

「トパーズ!!! 大丈夫!?」

戻ってきたトパーズの大粒の涙が浮かんでいた、ルビーの目にも光るものがある。

「大丈夫よっ…!わたし達も帰りましょ学校に…」








ナニがとは言いませんがご想像にお任せします。





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