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魔法のない普通科で。    作者: ワイ
追憶と残響の桃
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花鳥風月

「ねぇ、今日の夜ご飯何か知ってる?」

にひひと悪戯っぽく笑う桃に、ルビーは呆れたように頭をかいた。

『このタイミングで飯の話かよ』

「……ですって、さすが食いしん坊さんね」ふふふ

トパーズも思わず吹き出し、目元を和らげる。

「今日は打ち上げしたいでしょ? って食堂のおばちゃんが朝から準備してたの僕は知ってる」

蒼が眼鏡のフチを指で少し押し上げながら、きらりと目を光らせる。

「じゃあ行こう!!! 絶対楽しいよ!!」

桃の弾んだ声に引き寄せられるように、4人は歩き出す。

だが、それぞれの胸の奥深くには、インペリアル氏が語った言葉が響き続けていた。


大食堂に足を踏み入れると、そこは熱気と光に満ちあふれていた。

派手な装飾魔法が交差し、先生や生徒も混じってクラフト大会の打ち上げの雰囲気を楽しんでいる。

「呑気なものだな、人の気も知らないで……」

壁際で喧騒を見つめながら、蒼がポツリと呟く。

「でもさ、私は諦めないよ。期限が次の新月2週間後だったとしたら、あと2週間しかこんなの見られない……こんなすごいこと目に焼き付けなくてどうするの?」

「っ……」

ね? と蒼の顔を覗き込む桃。

その距離感に赤面しつつ、蒼は眼鏡の位置を直して小さく頷いた。

「そうだね…ちゃんと楽しもう、ルビー! トパーズ! 僕たちの腹は決まった、今は楽しもう」

ルビーも待ってましたと言わんばかりに屈託なく笑う。

「わかったわ、次の新月まで遊んであげるわ、さぁじゃあ見てなさい、トパーズ様の華麗なる魔法による大演舞を」

ふふ、と笑いトパーズは光り輝く花や鳥、風を起こし、それらを天井に集めて大きな球体にした。

「す、すごいよねぇ! 蒼ちゃん見てる!?」

「あぁ、まるで満月みたいだ…」

(本当すげぇな、トパーズは…)

ルビーも感嘆の息を漏らす。

パンッ! 弾ける音とともに、光が蝶となって食堂内を飛んでいく。

「「「うわぁぁぁーーーっ!」」」

「トパーズ様すごい!」

「さすがです!」

指笛を鳴らす生徒もいる。

「トパーズ、アンコール!」

桃がお願いと人差し指を立てながら言った。

「「「「「「アンコール!!!! アンコール!!!」」」」」」

どこからともなく、他の生徒も続いて声を上げた。

「仕方ありませんわねっ!」

魔力を全開にするトパーズ。


宴が終わり、熱気の冷めやまぬ帰り道。

『はぁー明日から授業かぁ〜またクラフト大会やってくれませんかトパーズさまぁ…』

「……ですって? この大会にかけた資金を聞く気があるのならやってもいいわよ」

ひゅ……………

『ぼくじゅぎょうだいすきがんばります』

「………ですって? ふふふ、2人の怪我の事、蒼の状態はちゃんと教師に共有させるわ、安心して絶対守るわ」

トパーズの瞳は本気だ。

女子寮と男子寮に分かれる4人。

桃はトパーズと寝る前のお茶を楽しみ、ベッドに入ってからも今日の興奮冷めやまない様子でずっと話していた。

……大広間であった事以外は。

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