大人
紅子さん、私はずっと母を諦めないでいたんだ。
付き合わせてしまって本当に申し訳なかった。
でもあなたとの時間も、あなたがトパーズと過ごす時間も、私にとって宝物のようなものだった。ありがとう。
「……すまないね。みな、今日はありがとう。素晴らしいディスクオルゴールだったよ。……紅子さんに、久々に会えたみたいで嬉しかった。」
インペリアル氏は優しく愛おしそうにディスクオルゴールを撫でる。
「では、失礼するよ」
静かに頭を下げると、インペリアル氏はそのまま応接室を後にした。
バタン。
重々しい扉が閉まった、その瞬間。
「っはぁ……っ……」
張り詰めていた緊張の糸が一気に切れ、桃はその場に崩れ落ちるようにして大きく息を吐き出した。全身の力が抜け、指先がかすかに震えている。
「桃……嫌なことを言わせてしまって、すまない……」
蒼が悲しげに眉を下げ、肩を落としながら桃に寄り添った。
「ううん……ううん……! 私の、本当の気持ちだから……」
首を横に振りながら、必死に息を整える桃。
そんな2人の前で、トパーズは硬い表情のまま、閉ざされた扉を固く睨みつけていた。ギュッと握りしめた拳が、悔しさに打ち震えている。
「……大人なんて、大嫌いだわ」
トパーズの絞り出すような声が、冷えた廊下に低く響く。
「子供の心配をするフリをして……傷つくのが怖いからって、私たちの可能性に目をつぶっているだけじゃない……!」
悲痛な叫びを上げ、涙を溜めるトパーズ。
その背中に向かって、ルビーがふっと笑みを浮かべ、ぽんと優しく肩を叩いた。
「かっこよかったぜ、トパーズ」
「……え……?」
振り返ったトパーズの涙を、ルビーがそっと拭う。
「あんな凄みのあるお父様相手にさ。一歩も引かないお前、本当にカッコよかった」
応接室を出た直後
「あと、あの医務官早くクビにしてください」
「あ、あぁ…ここに鍵があるということはそうなんだろうね、支給手配するよ….」




