初めての魔物
飯を食った後に同じ2階の残り二部屋も見てきた。
その結果は散々だった。
賞味期限がギリギリの菓子パンが一つ。
カップ麺が二つ。
これだけかよ。
もっと用意してしとけよ。
と、怒っても仕方ないので入らないものは部屋に置いて一階に行くことにした。
時間はまだあるしな。
トコトコと階段を降りて行く。
「よし、なにもいな―――」
何かいる。
小学校中学年程度の身長。
濃い緑の体。
見ただけで吐き気がするほどブサイクな顔。
ゴブリンだ。
本当にいるとは。
「ぁ――――」
声が出ない。
正直ネットで見てはいたが本当にいるのか、と半信半疑な思っていた。
いるとしても俺のアパートの近くにはいないだろ、と楽観視していた。
そんな昔の俺を呪いたい。
震えている。
体が動かない。
こちらはまだバレていないのにも関わらずだ。
怖い。
あの不気味な顔がこちらに向くのではないかと考えると恐ろしい。
落ち着け、俺。
大丈夫、まだ気づかれてない。
ゆっくりと動けば問題ない。
そう、ゆっくりとだ。
ん?動かない、なんでだ?うごけ、うごけ、うごけ!
お?ちょっと動いたぞ。
よし、このまま、一歩ずつ、そう一歩ずつだ。
ん?一瞬こっち向いたきが―。
・・・・・は〜〜、気のせいか。
心臓が止まったかと思った。
はぁ、はぁ、やっと戻って来れた。
息が荒い。
心臓がドクドクしている。
体が冷や汗でいっぱいだ。
すぐ近くになのに小一時間近くかかってしまった。
ただ見ただけなのにこんなことになるとは。
俺には覚悟が足りないのかもしれない。
どっとで疲れたな。
はぁ〜〜〜、今日は飯食ってさっさと寝るか。
めちゃくちゃ疲れたからな。
でも、こういう時には風呂に入りたいな。
体が全部入るくらい大きな湯船に。
ん?
そういえば、最近風呂入ってないな。
しかも体も拭いてないな。
臭いかな?俺の体。
クンクン・・・・・ま、大丈夫か。
誰もいないし。
人と会ってから考えよ。
翌朝
「よし!今日こそ一階に行くぞ!」
右手には隣の部屋からパクった金属バット。
心には覚悟を。
本当はもっと色々装備したほうがいいんだろうけどないものは仕方ない。
ないったらないのである。
ゆっくりと階段を降りて行く。
一階が見えるところで一旦止まる。
そして周囲を見渡す。
「誰もいないな。」
ひとまず安心だ。
だが油断はできない。
ゆっくりと下に降りて行く。
いた。
ゴブリンだ。
昨日と同じ個体なのだろうか。
まあ、そんなことはどうでもいい。
よし、昨日と違って身体はちゃんと動く。
これならいける。
あいつをやれる。
昨日の夜心の中で散々唱えた。
恐らくこの先もこんな化け物たちに出会うだろう。
戦うこともあるかもしれない。
それなのにあんな数々のアニメ、ゲームで雑魚と呼ばれてきたゴブリン1人やらなかったらこれから生きていけないだろう、と。
バットを構える。
脳天をしばけば殺せる。
ゴブリンが俺を背に向けた。
よっぽど警戒心がないのだろうか。
こちらとしては好都合。
「おらー!」
叫びながら走り出した。
ゴブリンもすぐに俺のことに気づいたがもう遅い。
俺の振り上げられたバットはもう相手の頭上。
グシャ
鈍い音が近くに響いた。
一撃だった。
もっと抵抗してくると思っていた。
目の前にはゴブリンの死体。
俺がやったのだと強く訴えかけてくる。
吐き気がきてきた。
「オェェェ」
近くに吐いてしまった。




