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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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くるまいすをおすふうふ

 女が夕方に道を歩いていると老夫婦が女の進む先から来ていた。

 その老夫婦は車椅子を押していた。


 だが不気味なのは、その車椅子に誰も座っていないことだった。


 ただ老夫婦は仲良さそうに笑いながらしゃべり、妻のほうが車椅子を押していた。

 なので、女も普段は旦那のほうが車椅子に座っているが、今は立って歩いていて、疲れたら車椅子に座るのかも、そう考えた。

 それくらいしか思い浮かばなかった、というのもあるが。


 だが、それだけでは説明ができないことが起き始める。

 まず老夫婦の妻のほうがしゃがみ込み、ちょうど車椅子の、人が座っていれば頭の辺りに向けて、何かを話し始めたのだ。


 それを見ていた女は異様な雰囲気を感じ始める。

 まるで車椅子の上に誰かいるような、そんな感じがするのだ。


 無論、車椅子には誰も座っていない。


 そのはずなのに、見えない誰かが座っているような、そんな気配を感じ始めていた。

 たった一人の動作があっただけで、そこまでなにか感じるものがあるものなのかと、女は不思議に思う。


 そう思っていると老夫婦の旦那のほうが、女の方を一瞥し笑みを浮かべる。

 そして、誰も座っていないはずの車椅子に向かい話しかける。

 その話し声が女にも聞こえて来る。

 内容は理解しがたくゾッとするものだった。


 あの人なんかどうだ? 気立てもよく優しそうじゃないか。


 老夫婦の旦那は、女の方を見た後、誰もいない車椅子に向かいそう言ったのだ。

 そう言った後も、笑顔で、観察するように、女の方を見てくるのだ。


 女も自分のことを言われているのだと、そう感じた。

 何か嫌なものを感じた女はその場から速足で逃げ出した。


 すれ違う感じだったはずなのだが、なぜか車椅子を押していた老夫婦は女とすれ違った後、Uターンし女の後をつけるように歩みだした。

 ただ、相手は老夫婦だ。

 その歩みは遅くすぐに引き離すことができた。


 女はつけられてないか気を付けながら、自宅へと戻る。

 つけられてはいなかったはずだし、わざわざ少し遠回りをして自宅に帰った。

 家までつけられ、知られたくない、そう思ったからだ。


 だが、日が暮れてから、なんとなく女が窓の外を見ると、自宅の前をあの老夫婦が車椅子を押している姿が街灯に照らされていたに映し出されていた。

 ただ女の家が正確にわかっているわけではないようで、通りをうろうろしている。


 なんで家の近くまでばれたのだろうと、女は窓からその老夫婦を観察する。

 そこで女も気づく。

 誰も乗っていなかったはずの車椅子に、白い人影のようなものが見えていたのだ。

 それが老夫婦の行く方向を指さして決めているのだ。


 女はゾッとしたものを感じ、家の中に身を隠した。

 しばらくすると、あの老夫婦も消えていた。


 老夫婦が押していた車椅子に座っていた白い人影。

 あれがなんだったのかは、わからないままだ。







くるまいすをおすふうふ【完】

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