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それなりに怖い話。  作者: 只野誠


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とじこめるいえ

 〇〇の森と呼ばれる結構な大きさの森が少年の住んでいる地域にはある。

 森自体は私有地で立ち入り禁止だ。

 立ち入り禁止ではあるが、子供がそれを守るわけもない。


 その森に入り遊ぶ子供もいる。

 少年もそのうちの一人だ。


 その森の奥にはブロック塀で囲まれた小屋がある。

 塀としてブロック塀で囲まれているわけではない。

 小屋の壁がすべてブロック塀なのだ。

 四方だけでなく屋根もしっかりと封をするように埋められているような小屋だ。


 ただ、ブロック塀だ。

 そこまで頑丈でもないし、ブロック塀自体かなり古いもので、小さな穴などが開いている。


 少年は友人に、この小屋はなんだと思う、と聞くと、何かを閉じ込めているって聞いたことがある、と返事が返ってきた。

 何を閉じ込めているんだろう、と少年は考える。

 少年はブロック塀に空いた、真っ黒で闇しか映さない穴を覗き込む。


 少し湿った冷たい冷気を感じる。


 少年は穴を覗き込むのをやめて、その辺に落ちていた棒切れを穴の中に入れて、穴を広げようと力を籠める。

 回したり押したり引いたり、そういったことを少年は繰り返す。


 風化していたこともある。

 ブロック塀の一部がそれで崩れてしまう。

 剥がれ落ちたブロック塀の内側には、ボロボロの紙が張り付けられていた。


 それが茶色く風化したお札であることに少年も、その友人もすぐに気づいた。

 それほど、それは、いうならばそれっぽい代物だった。


 少年はそれを、お札の残骸ともいえるものを見て一気に怖くなる。

 してはならないものをしてしまった、そう思えたのだ。


 友人は少年に、本当に壊しちゃったのかよ、と心配そうに言ってくる。

 怖さに怯えつつも少年は好奇心に駆られ、大きくなった穴を覗き込む。

 

 数センチ程度の穴が、今はブロック塀が割れて大きな裂け目となっている。

 その先には廊下、いや、縁側があった。

 少年は縁側なんてものを知らないが、それが家の一部だと理解はできた。

 ブロック塀の中に小さな平屋の家が隠されていたのだ。


 日光が差し込んだ縁側には埃が降り積もっていた。

 そこにあるものを見て、少年はパニックになる。


 ブロック塀は四方を完全に覆っている。

 屋根も天井もだ。

 入り口はもちろん出口もない。

 だから友人も何かを閉じ込めているだなんてことを言ったのだ。

 なのに、埃の積もった縁側には誰かが歩いたような、しかも新しい足跡がしっかりと残っていたのだ。


 少年はそのことを理解して、パニックになったのだ。

 その場から慌てて逃げ出した。それを友人がわけもわからず追った。


 少年はあの家に閉じ込められていたものを解き放ってしまった。

 そう思えて仕方がなかった。

 閉じ込められていた存在が自分に仕返しに来る、そう考えていた。


 だが、何も起きない。


 少年は恐怖し、怯えた日々を過ごしていた。

 友人がそんな少年を見かねて、森の中の小屋をもう一度見てきた。


 壊れたはずのブロック塀は新しいものに取り換えられていた。

 そのことを友人が伝えると、少年も落ち着きを徐々に取り戻していった。


 まだあの小屋は、あの家を、なにかを、閉じ込めたままなのだと。

 あの中に閉じ込められていた存在は解き放たれていないのだと。


 実際のところは何もわからない。






とじこめるいえ【完】

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