ものおきのそうじ
休日の昼間の出来事だった。
女はベランダに飾ってある鉢植えの手入れをしていた。
少しだけ騒がしいと思ったら、隣の家が物置の整理をしていた。
いくつもの段ボールを外に出し、仕分けしているように思える。
その様子を女がじっと見ていると、視線に気づいたのか隣の家の奥さんが女に向かい軽く会釈をした。
女も会釈し返す。
それで女は鉢植えの世話に戻る。
しばらくして言い争う声が聞こえる。
ケンカでもしたのか、と思い、女は視線を隣の家の庭に移す。
すると、隣の家の奥さんが庭で尻もちをつき、その旦那が物置から逃げ出す様子が見られた。
なんだ、と思い女は隣の家の物置を見る。
すると、物置の入り口から白い人が現れる。
その白い人は物置の入り口で、隣の家の夫婦を威嚇するようなポーズを取り、物置の中に戻って行くのが見えた。
女は何かあったのかと思い、夫婦に向かい声を掛ける。
すると変質者が出た! と隣の家の奥さんが叫んだ。
確かに白い人影を女も見た。
女はすぐに警察に電話します、と伝え、実際に警察を呼んだ。
その後しばらくして、警察がやって来て、隣の家の物置を調べる。
女もその様子をベランダから見ている。
だが、すぐに警察は物置から出て来て、隣の家の旦那と話し出す。
しばらくすると警察が女の家まで来て事情を聞かれる。
なんでも、物置の中には誰もいなかったという話だ。
ただ、女も物置から白い人が出てきているのを見ている。
それを警察に告げる。
そこで女は、その時のことを詳細に思い出そうとして気づく。
あの白い人がどこかおかしいことに。
全身が白い。
だが、服を着ている感じがしないのだ。
全身タイツでもない。
白い肌というのが一番しっくりくる。
今思うと髪の毛まで真っ白なのだ。
そのことを女は警察に伝える。
警察は訳の分からないといった顔をするだけだ。
ただ、女は実際に物置から白い人物が出てきたことだけは確かだと、だから百十番も自分がしたのだと証言した。
それからしばらくして、隣の家の物置が取り壊される。
今回の件があったからではなく、古くなっていたから元々建て直すつもりだったらしい。
それで中の荷物を運び出していたんだとか。
だが、しばらくして物置があった場所はブルーシートに包まれる。
警察も来た。
今度は何人も来た。
何事かと女も思っていたが、その理由は数週間後に分かる。
白骨死体が物置の下から出て来たのだ。
ただそれはかなり昔のもので、隣夫婦がなにか事件を起こしたとかではないらしい。
今、隣の夫婦は引っ越すかどうかでもめているようだ。
あの白い人はその白骨死体の人物だったのだろうか。
女はそんなことを考える。
だが、女は知らない。
元々隣の家の敷地は女の家のもので相続税を払うために、祖父が死んだときに切り売りされた土地だということを。
それでも、結局は埋まっていたのが誰なのか、分からないままだ。
ものおきのそうじ【完】




