のろいのどうが
男の友人から呪いの動画というタイトルのメッセージが届いた。
どこかのURLだ。
有名どころのURLではない。
ウイルスか、と男は思ったが、そんなこともなく外国の動画サイトのようだった。
暇を持て余していた男は送られてきた動画を見る。
外国人の女性が英語で話しながら、自撮りしながら暗闇の中を早足で歩いている。
男は英語を話せるわけではないので、動画内の女性が何を言っているかまるで分からない。
しかも、かなりの早口で喋りまくっているので、単語一つ聞き取れない。
動画内の女性はどこか焦っているようだ。
焦っているなら、自撮りなんかしている場合じゃないだろう、と男は心の中で突っ込んで動画を見る。
三分の動画のうち、三分のニ以上そんな動画だった。
動画の最後で自撮りしている女性が転び、動画を撮っていたスマホも地面に投げ出され、画面は地面だけが映し出され悲鳴だけが聞こえてくる。
肝心なものは何も映っていない。
男もただのフェイク動画だとそう思った。
だが、最後の十秒でその評価が変わる。
何かが覗き込んできた。
皮膚病の犬に見えた。
目が異様に大きい。
だが、二本足で歩いていたので犬ではない。
被り物などの作り物には到底思えないリアルさがある。
さらに蠅が周囲を飛び回っていて、何度もその化け物とカメラの間を行き来している。
AIによる作り物にも見えなかった。
男はなんだこれ、と思いつつ、コメント欄を見る。
もちろん英語なのでそのままでは読めはしない。
ブラウザの翻訳機能を入れることで、それが読めるようになる。
ほとんどは本物か偽物かの論争だ。
その中でいくつか同じURLが張られている。
そのURLはこの動画のURLだ。
何で動画内のコメントで、この動画の宣伝を? と男は不思議に思った。
だが、コメントを読み進めていくとその理由がわかる。
一番最初のコメント、ユーザー名はdog_man。この投稿者と同じユーザー名だ。
コメント内容は、この動画は呪われている。dog_manがお前を見つける前に五人にこの動画を紹介しろ、というものだった。
昔昔流行ったチェーンメールのような内容だ。
男は鼻で笑って、だから友人はこの動画のURLを送りつけて来たんだと、そう思った。
だが、翌日、その友人が死んだという連絡が来た。
夜道で犬か何かに襲われて噛み殺されて死んだという話だ。
クマじゃないのか、と思ったが、クマが生息しているような場所ではないとのことだ。
dog_manという言葉がどうしても気になってしまう。
男はすぐに疎遠となった友人五人にそのURLを送った。
それらの友人が死んだという話は聞かない。
彼らも誰か五人にURLを送ったのだろう。
その証拠にあの動画の再生数は今も増え続けている。
のろいのどうが【完】




