表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それなりに怖い話。  作者: 只野誠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

820/828

ぐつぐつぐつ

 グツグツグツと何かが沸き立つような音がする。

 男は台所へと向かうが、コンロには鍋も置かれていない。


 だが、台所はどこか湿気が高く温かかった。

 さっきまで誰かが鍋料理でも作っていたように。


 その証拠にガラス窓の内側だけが湿気で曇っている。

 そしてそれが、今まさに乾いて行くのを男は気づいてしまう。


 何かがおかしい。

 男はそう感じる。

 いつの間にか、グツグツグツという音も聞こえなくなっている。

 けれど、台所にはある種の匂いが漂っている。

 嫌な臭いではない。

 この匂いは……


 うどんだ。


 茹でたうどんの匂いだ。

 小麦の香ばしくも独特のほのかに甘い香り。

 それがどこからともなく匂ってくる。


 匂いの元は、やはりコンロの方からだ。


 流しを見ると、ゆで麺の袋だけが捨て置かれている。

 その袋は、冷蔵庫に常備してあるゆで麺のものだ。


 やはり誰かがうどんを茹でて食べたのだ。

 ただ茹でた鍋や食器などの跡はないが。


 男はなんとなく、死んだ爺さんがうどん好きだったので食べたのだろう、そう思うことにした。


 それから男は数日に一度、仏壇にうどんを備えるようにした。

 そんな男を家族は不思議そうな目で見るが、男は気にしなかった。


 それ以降、男が何かを茹でる音を聞くことはなくなった。

 これはただそれだけの話だ。





ぐつぐつぐつ【完】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ