護衛騎士の受難と自由人
(あー、くそ!はやくお嬢様の所に戻らなきゃいけないのに!)
両手の皿にはカナッペやサンドイッチ、リーシャ好みの可愛らしいケーキが沢山。リーシャの好物を両手に、レヴィは行く手を塞がれていた。
「どちらの騎士様ですかぁ?♡」「お名前を伺っても?♡」
「この後ご一緒にいかがですかぁ?♡」
(あ゛ー!香水臭いし、無駄にヒラヒラしてるし、―――五月蝿い!)
心の声を悟られないよう、(秘技!)
「麗しのお嬢様方、大変申し訳ございません。主人が待っておりますので、私はこれで……。」
切れ長の目を細めて“ふっ”と作り笑いを浮かべるとその場から足早に立ち去った。
「きゃー♡♡」
(あ゛゛ーー五月蝿い! !無駄な時間を使っちまった!)
―――――――――――――――
『偽物の公爵令息』
噂好きのご令嬢たちがいつか話題にして色めきたっていたことがあった。
ブランドン公爵の庶子で、母親に売られるように公爵家へ引き取られた……。母が違うだけで偽物なんて―――!
「失礼いたしました、公爵令息様。グランバル伯爵の娘、リーシャでございます。
お助けいただき、ありがとうございます。」
「どういたしまして♪ ♪♪ それより人形姫―――」
「グランバルです。」
「えーWWW じゃあリーシャ嬢!
一曲、ご一緒していただけますか(パチッ)☆」
「?!」
そう言って慣れたようにウインクする。
「公爵令息様―――」
「名前で呼んでよ♪ みんなジークって呼んでるよ♪」
はぁ、頭がクラクラしてきた……。
「ジークハルト様。先程の様子をご覧になっていらっしゃったのでは?私は、」
「うん♪だから誘ってるんだよ♪ 俺ダンスは得意なんだよね〜
せっかくの宴だ!座ってばかりで踊らないなんてつまらないだろっ♪」
ニカっと笑ってみせると褐色の肌に白い歯が映える。私の手を取ろうとしたその時、
「お嬢様から離れていただけますか?」
両手にお皿を乗せたレヴィがいつの間にか戻ってきていた。レヴィの周りの空気がやけに冷たい……怒ってる!




