希望の道筋
グランバル伯爵領が襲われた日から4年の月日が流れていた。
慣れない身体で過ごす日々を泣き言も言わず笑顔で過ごしてきたリーシャにとって、今日は新しい一歩へのはじまりの日─────。
真っ直ぐ見つめた灰色の瞳が力強くそう言いニカッと笑うと、リーシャは胸がなぜか高鳴る。
マルクからリーシャの左足について手紙で相談を受けていて、本人に会うことを強く願っていたとロットンは話した。
「この国ではまだ女性や子供に対する実用的な義肢は普及が乏しいですが、私は性別や年齢問わず必要とする人は皆手に取れる物にしたいと考えております。
“見た目を補強する為”ではなく、失った四肢と変わらず“体の一部として生活を共にする”」
「リーシャ嬢の可憐なダンスを拝見する日を私も楽しみにしております。」
ロットンの言葉にアンヌは顔を覆い涙を流す。そのすぐ後ろでは瞳にたくさん涙を溜めたレヴィ。
グランバル伯爵がロットンの手を力強く握る。
「─────っ!ロットン先生、ありがとうございます。本当に…ありがとう」
父の声にも涙が滲んでいるのをリーシャは気づいた。
「『ギル』とお呼びください。
私は何も……私はマルク医師からお嬢様のお話を聞かなければ皆様にお会いすることは叶わなかったかもしれない男です。
マルク医師のおかげで、こうして皆様にお会いできました。」
アンヌがマルクをギューっと抱きしめる。涙を流しながら「ありがとう」を繰り返すアンヌの背中をポンポン叩くマルクの笑顔が今日はいつもより優しく見えた。
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「では。早速ですが、診察を始めましょう!」
リーシャの部屋に移動し、傷口の確認や採寸、型取りが二人の医師の手で驚く程の速さで進められる。
「義肢を着用するには体力も必要になりますが…」
リーシャとレヴィを交互に見つめ、フッと笑うギル。
「体力面は、あまり杞憂は無さそうですね(笑)」
((さっきの見られてたんだー!!))
真っ赤になるふたりを見てギルとマルクが悪戯に笑った。
「さぁ、お疲れ様でした。これで終了です」
マーサが淹れたお茶を飲み一息つく間もなく、
「ひと月程お時間を頂きます。その間マルク医師の元で生活しておりますので、ご入用の際にはそちらへ。 では私はこれで」
そう言って大量の荷物をヒョイっと軽々担ぐと部屋から出て行ってしまった。
「ちょ、待ってください!君帰り道わからないでしょ!!」
急いでお茶を飲み込むとリーシャに「また!」と声をかけ急いで後を追うマルクと、慌てて夫妻を呼びに行くレヴィ。
皆が出ていった部屋でリーシャは期待で心が踊って笑顔がどんどん溢れてくる。
(またダンスが踊れる。アレックスとの約束が叶うんだわ)
「〜♪〜〜♪♪」
ベッドわきのくま伯爵の手をとりパタパタと足を動かす。明るい歌声が部屋の中に溢れた。




