二人の医師
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「お嬢さまー!!」
「どちらですかー!!!」
(うふふ♪今日も私の勝ちねっ♪)
主のいない車椅子を押し、額に汗をかきながらキョロキョロと辺りを見回すレヴィ。その姿を物陰からこっそり見つめリーシャはクスクス笑う。
「さぁ、今日はどこまで行こうかしら♪」
杖を支えに器用にぴょんぴょんと歩き回る。すると、
「こぉら、リリー。レヴィを困らせてはいけませんよ。」
振り向くとすぐ後ろに母と、笑顔のマルク医師。
(あ、お母様の額にお怒りマークが…)
「レヴィ、こちらですよ」
母の言葉を聞きつけ、大慌てで車椅子を押しながらレヴィが駆けつける。
「ゼーゼー、───お嬢さま!突然いなくならないで下さいとあれほど言っているのに!!」
息を切らし真っ赤な顔でそう言うレヴィ。彼の黒い瞳に僅かに涙が光るのを見て、少し罪悪感。
「ごめんね、レヴィ」
「リーシャお嬢さまは今日も元気いっぱいですねぇ♪」
ニコニコしながら様子を見ていたマルク医師が楽しそうに声を掛ける。今日は診察の日だったのをすっかり忘れていた!
「こんにちは、先生」
スカートの裾を軽く持ち母から習った挨拶をする。満足そうな顔のリーシャ。
「おや、すっかり素敵なレディですね!」
「レディは走り回ったりいたしませんわ。」
呆れたように母がそう言うと、うんうん。と頷くレヴィ。リーシャは軽く口を尖らせしょんぼり顔で栗色の髪をくるくるいじった。
グランバル伯爵邸の応接室に、伯爵夫妻とリーシャ、レヴィ、マルク医師。そして、今日はマルクが是非紹介したいと一緒にやってきた男性が1人。
「こちらの方は僕の医術の師匠がその腕を認めている、ギル・ロットン医師。長年隣国で活躍されていて、先日我が国へいらっしゃったんです。」
「ロットン医師は義肢を専門にしているんですよ!」
そう言うと、マルクから紹介されたロットン医師が丁寧にお辞儀する。
「ギル・ロットンと申します。この度はお目にかかれて光栄です。」
そう言うとグランバル伯爵夫妻と握手を交わす。白髪の短髪に、顎髭まで白いロットン医師は父と変わらぬ程の身長とガッシリした体躯の大柄な男性だった。
その大きな姿をまじまじと見つめているとロットン医師と目が合う。彼の灰色の瞳に思わず顔が赤らむリーシャ。
「初めまして、お嬢様。君の事はマルク医師からの手紙で以前から存じておりました。」
リーシャの瞳を真っ直ぐ見つめ、ロットンが語りかける。
「君の手助けをさせていただけませんか?」




