伝えられた「今」
グランバル伯爵とニコニコ先生ことマルク医師がリーシャの部屋にやってきた。
部屋のドアを開けた瞬間、とびきりの笑顔で迎える娘に伯爵は涙が出そうなのを堪え、ギュっと抱きしめた。
「パパ、助けに来てくれてありがと……。とってもカッコよくて、強くて、びっくりしちゃった!」
そう言ってコロコロ笑うリーシャにどこか辛そうな顔で微笑み父は額にキスをする。
両親が心配そうに見つめる中、マルク医師がリーシャの診察を始める。レヴィとマーサは部屋の外で待機中。
「体は痛くないかい?」
「ええ♪ さっきお薬をのんだら痛いのが治ったのよ♪」
(さっき飲んだ薬は、ラスタ王妃からの贈り物の鎮痛薬。遥か東の国の秘薬だとか…………)
マルク医師が心の中で呟き遠い目をする。
「???」
そんな様子をリーシャは不思議そうに見ている。
「おっと、すまないね。 傷の様子を診るよ、失礼」
そう言って毛布を除け、寝巻きのスカートの裾を捲る。
───シュル、シュル────
静かな部屋の中に包帯を外す音だけがする。
リーシャはモジモジ体を動かし診察の様子を見ようとするが先生の意外と広い背中で左足が見えない!
「─────うん、傷の経過も良好!」
ニッコリ笑うマルク医師にリーシャが問いかける。
「ねぇ、先生?なんだか私の左足がへんなの。ずーーーーーーーっと動かそうと力を入れているのに動いている感覚がないのよ?」
「あっ、それは……」
可愛らしく眉間にシワを寄せ不満そうに言うリーシャに、マルクが思わず言い淀む。
「私から話そう。」
そう言ってマルクの肩に手を乗せ、ありがとう。と伯爵が声を掛ける。
戸惑いながらもグランバル伯爵に一礼をし、マルク医師が部屋の隅に下がる。いつも笑顔の彼から笑顔が消え、なんだか辛そうに歪む顔を不思議に思うリーシャ。
「パパ?」
ベッド横の椅子に腰掛けリーシャの手をしっかりと握る父。傍らには沈痛の面持ちの母。
「リーシャ、目覚めたばかりの君にはとても辛く……信じ難い現実を与えて与えてしまったことに申し訳ないと思う……………。」
「君の未来を奪ってしまった……本当にっ…………すまない」
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父の口から、気を失った時から今までの事、怪我のこと、そして違和感が拭えない左足の“今”が伝えられた。
部屋の中の皆が暗く辛い顔で俯いている…………
(そっか……)
なぜか違和感が付きまとう左足。その理由を知った。
暗い顔の父母へ精一杯の笑顔を見せる。
「パパ、ママ!守ってくれてありがとう!愛しているわ!」
そう言って小さな腕をおおきく広げると、父と母が涙を流しリーシャを抱きしめる。




