レヴィの宝物
ヒソヒソ────
〈おふたりにお子が……〉〈レヴィ坊ちゃんはどうなるんだ?〉
〈そりゃ実子であるお腹の子が──、〉〈シッ!坊ちゃんに聞こえてしまうぞ!〉
母様のお腹の中に赤ちゃんが!とってもうれしい事なのに、時々聞こえてくる声に黒いモヤモヤが……。
父様と母様がとっても愛してくれてるのに、こんな不安になっちゃダメだっ!!!!!
────────────────────
「おめでとうございます!可愛らしいお嬢様です!!」
マーサがそう言って部屋に入ってきた。
(俺の妹!)
父様と一緒に母様の元へ。汗でびっしょりの母様が俺たちふたりを見て微笑む。
「レヴィ、あなたの妹よ。抱っこしてあげて」
マーサが赤ちゃんを抱っこして俺の方に。
「さぁ、坊ちゃん♪」
ドキドキしながらマーサの腕の中を覗く。
「わぁぁ!」
ふにゃふにゃで小っちゃくて可愛い俺の『妹』
マーサの手を借りて、抱っこする。とっても小さくてあったかい……。そっと指を近づけると、
“ぎゅっ”
俺の指を握って、ニッコリ笑った!
会うのが少し怖くて、でも世界一会いたかった俺の宝物。
決めた!!
「父様、母様。 俺、妹を守る騎士になる!!」
ぎゅっと抱きしめて、誓う。
「俺がずーーーーーーっと守ってあげるからね」
────────────────────
幼い頃、生まれたばかりのお嬢様にそう誓ったのに……。
俺の小さな大切な宝物は、いまベッドの上で高熱に苦しんでいる。
(俺が、弱いから────!)
庭の隅でひとり佇んでいると、近づいてくる人影。
「やはり、ここにいたんだね」
「……旦那様。」
「変わらないなぁ。お前は幼い頃から不安なことがあるとここに来ていたね。」
そう言って懐かしそうに目を細めて旦那様が笑う。
────────っ、
「申し訳ございませんでした。」
「どうして謝るんだい?」
「お嬢様に怪我をっ……。俺が弱いせいで、お嬢様を苦しませてしまいました」
ボロボロ涙を流し、そう言うレヴィ。ローガンがゆっくり近づきレヴィの頭を撫でる。
「やっぱり、お前は変わらないね。リーシャの騎士になると言って、翌日から私たちを『旦那様』『奥様』と呼ぶようになった時も。騎士になるための修行を始めた時も……。
今回だって、傷だらけになりながらも戦い続けた。
お前はいつでも真面目で、誰よりも家族を愛する優しい子だ。」
「妹を、家族を守ってくれてありがとう。よく頑張ったな」
レヴィを力強く抱きしめるローガン。レヴィの瞳から涙が止めどなく溢れ出てくる。
「とっ、父様────、リリーがっ、うわぁぁぁん!」
子供のように声を出して泣きじゃくるレヴィの背中を撫でながら、
「大丈夫、信じよう。」
自分自身にも言い聞かすように父は小さくそう呟いた。




