父の決心
「大変申し上げにくいのですが……」
「危険な状態です。」
リーシャの治療を続ける医師から告げられた一言に、部屋の中にいた全員の目の前が真っ暗になった。
力無く抱き合うアンヌとマーサ。
言葉の意味を頭の中で繰り返し表情が消えるレヴィ。
ローガンは拳を固く握り、真っ直ぐ見つめ医師の話を聞いている。
「左足の傷が感染源となり、多臓器不全を起こしかけています。このままでは……」
ローガンの拳から血が流れてくる。
「治療法は無いのか?」
「ひとつだけあるとしたら……その………」
皆の顔を伺うように見回し、医師が言葉を濁す。
「教えてくれ。」
「感染源を取り除けば助かる見込みはあります。その……、」
「どうしたらいいのだ?」
「左足を切断すれば……」
「?!」
言葉にならない悲鳴を上げアンヌが崩れ落ちる。
「そんなっ、先生!他に方法なないのでしょうか?!お嬢様はまだこんなに幼いのに────」
マーサがアンヌを抱きしめ、泣きながら訴える。
ローガンの上着の裾を握りしめ言葉を失うレヴィ。
黙って首を振る医師の姿を見て、ローガンが静かに口を開く……。
「マーサ、レヴィを連れて部屋の外に居てくれるか?アンヌ、君も……」
重く落ち着いた声でローガンが言う。その声色に夫の決心を感じたアンヌが震える体で立ち上がり血が流れ出る拳を自分の掌で包む。
「いいえ。私も一緒に」
そう言って微笑むアンヌとレヴィを抱きしめた。
ベッドの上でぐったりとするリーシャの額にはりついた髪をよけ優しくキスをすると、傍らに立てかけていた剣を手に取る。
「可愛い私達のリリー、
君を心から愛しているよ。」
溢れそうな涙を必至に堪え、大きく振りかぶる。
ダンッ─────────




