レヴィの大作戦
美しい花々が咲き誇る手入れされた庭園。その一角のガゼボで小さなお客様を招いてのお茶会が開かれていた。
「さぁレヴィ、いーーーっぱいたべてね♪」
テーブルを埋め尽くす程のお菓子やケーキ。次々に目の前のお皿に取り分けられるお菓子を美味しそうにもぐもぐたべる姿に、王太子妃のおしゃべりも止まらなくなる。
(はっ、たべてるばあいじゃないぞ!アンヌのじゃくてんをさがさないと!)
「あ、フォークをおとしてしまった!(おこるかな?)」
「ただいま新しいものをお持ちいたしますね。ニコッ」
(おこられなかった……)
「コレはきらいなんだ!ぜったいにたべないぞ(こまらせてやる!)」
「申し訳ございませんでした。すぐにお下げ致します。では、こちらはいかがでしょうか?ニコッ」
(おいしい……)
ふたりの攻防戦をラスタやまわりの従者は楽しそうに見ている。
(これならどうだ!)
ポケットから取り出したのは小さなダンゴムシ。隙を狙ってテーブルの端に置く。
「まぁ、こんな所に……あら?レヴィ様、少し失礼いたします。」
そっとレヴィの肩に手を添える。「???」キョトンとするレヴィが自身の右肩を見ると……
「わー!!はやくとってー!!( ; ; )」
右肩にイモムシ。慌てふためくレヴィに、シー。と声をかけ、ひょいっと摘みハンカチの上に乗せる(ダンゴムシも)とガゼボを出て生垣の方へと歩いていく。葉にイモムシ、地面にダンゴムシをそっと帰してアンヌが戻ってきた。
「席を外してしまい失礼いたしました。」
なにをしても優しい笑顔のアンヌ。
いつの間にか手首まで袖があるドレスに着替えられている。そんな彼女の弱点を見つけることができずレヴィは悲しくなってきた。どんどん涙目になってくるレヴィにアンヌはそっと頭を撫で心配そうに声をかける。
「レヴィ様?お腹が痛いのですか?」
「────っ!うわぁぁぁ、じゃくてんがみつからないよぉー(泣) ローガン卿とけっこんしちゃダメー」
ついに泣き出してしまったレヴィに一同ビックリ!アンヌはそんなレヴィを抱きしめ背中をポンポンと優しく叩く。
「けがさせてごべんなざいー(泣)」「ローガン卿をつれてっちゃいやだー」
アンヌはレヴィの言葉に頷きながら、ぎゅーっと抱きしめ続けた。
「やぁ、俺もご一緒してもかまわないかな?」
レナートがラスタに声を掛ける。
「まぁ殿下、ごきげんよう。今日のお仕事は終わったんですの?」
席に座ることなくテーブルの上のお菓子をひとつ取り口に運ぶレナート。こらっ!とラスタに小さく怒られる。
「妃殿下、突然の訪問を謝罪いたします。こちらに騎士団の者がお邪魔していると伺ったものですから……」
レナートの後ろからローガンが声を掛ける。
「あら、うふふ♪お迎えがいらっしゃったのね。とっても楽しいお茶会をしていたのよ。レヴィはあちらに……」
ラスタが目配せをした視線の先には、アンヌに抱かれたままぐっくり眠るレヴィ。
「ローガン様」
「アンヌ、すまない世話をかけた」
そう言って大きな腕でレヴィを抱き抱えると、いいえ。と優しく笑うアンヌ。
「泣き疲れてしまった様で。」
レヴィの赤く染った頬の涙の線をアンヌがそっと撫でる。
「今日はもういいぞー!」
「アンヌ、バルテル卿に付き添ってあげてね♪」
王太子夫妻に挨拶をして、ふたりは騎士団の宿舎までゆっくりと歩き始めた。




