レヴィとアンヌ
レヴィが騎士団で生活を始めて2年程が過ぎた────。
王都へ来た当初は、痩せ細り話すことも笑うことも無かったが、騎士団員や宿舎のメイド達と過ごす内に今では感情に溢れ元気いっぱいに成長していた。(騎士達の言葉がうつったのか、少々口が悪い所があるが…。)
相変わらずレヴィにとってはバルテル卿が一番安心する人物のようで、姿を見つければすぐそばに駆け寄りついて歩き、訓練中は真似をし棒を振り回す。そんな姿を皆微笑ましく見ていた。
だがある日、レヴィにとって大事件が起きる。
「ローガン様が婚約?!」
「バルテル卿が騎士団を辞めるだって?!」
騎士団のみならず王都中が混乱し、女性達は涙に明け暮れ、王国の未来を皆が悲観した。
もちろん幼いレヴィの耳にも大好きなローガンの結婚話は入り、『王都を離れる』という言葉に大きな悲しみを抱いたレヴィは決心する。
(そうだ!ローガン卿がけっこんしなければいいんだ!)
早速行動に移す。
コソッ────(あのおんなのひとが“アンヌ”だな。)
王太子夫妻が暮らす王宮内の別館。本日はラスタ王太子妃が庭でお茶を楽しんでいる。傍には侍女のアンヌ。
(あのひとのじゃくてんをさがすんだ!)
ラスタとアンヌ、他の従者に気づかれないようにコッソリ生垣の中を移動しアンヌのすぐ後ろまで移動する。
ヒソヒソ────
〈(コソッ ねぇあの子はどなた?)〉
〈(騎士団で生活しているレヴィだと思われます。)〉
「まぁ!あの子がそうなのね!」
近くの護衛とヒソヒソ小声で話すと、嬉々として立ち上がり生垣の方へ振り向くラスタ。そのままレヴィのいる方へツカツカと近づいていく。
突然の大きな声に驚き「うわぁ!」思わず声を出してしまった。
「あなたがレヴィね!レナート殿下からからお話しを伺って、いつかお会いしたいと思っていたわ♪」
そう言うとラスタが生垣の中のレヴィを見つめる。
見つかった事に驚きと恐怖を感じ、生垣のさらに奥へと逃げ込もうとした時、
「あらあら、そんなに奥に行っては危ないわ。こちらにいらっしゃい?」
生垣の中に白い腕が2本入って来た。枝に引っかかれて傷ができている。「さぁ?」と呼び寄せる様に差し出された腕に思わず体を預けるとグイッと生垣の外へと抱き寄せられた。
「ふふ、いらっしゃい、坊や。」
ふわっと笑いかける栗色の髪とブルーの瞳の女性。レヴィは思わず顔が赤らむ。
「アンヌ、レヴィをこちらに♪ お茶にしましょう!」
「?!(このひとが“アンヌ”)」
「はい、承知いたしました殿下。」
アンヌに抱かれたまま、美しい花、高貴そうな茶器や様々なお菓子が並ぶテーブル席へと連れていかれた。
椅子へ下ろされる時腕の傷を見るとうっすら血が滲んでいる。心配そうに見つめるレヴィにアンヌは微笑むと、
「優しい子。大丈夫、大した傷ではないですよ?」
そう行って優しく頭を撫でる。レヴィは思わずそっぽを向いてしまった。
(ぜったいにじゃくてん見つけて、ローガン卿のけっこんをそししてやるんだからな!)




