バルテル卿
※暴力的、流血の表現があります。苦手な方はご注意下さい
バドスピーク王国の国王レナートが王太子だった時代、レナートの右腕として戦場を駆け回り、他国から恐れられていた騎士『ローガン・バルテル』。突如として表舞台から去った彼は、今や王国国内のみならず、近隣諸国でも伝説のように語られていた……。
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次々に切り倒される黒ずくめの男達。その光景を薄れゆく意識の中でリーシャは見つめていた。
(……いったい、なにが起きているんだろう……パパ………?)
「領主様がいらっしゃったぞ!」
「我らも加勢致します!」
武器を持った領民達が集まってきた。皆ボロボロになっている……
「チッ、お前たちは奴等を追え!他はこいつらを!」
『団長』と呼ばれた紫の瞳の男が血で染まった右肩を押さえながら、仲間達に指示を出すと数人が森の方へとまた向かって行った。
「リーシャとレヴィと、森の方を頼む。エヴァとアレックスが逃げ遅れて追われてるんだ。」
「お嬢様!なんて傷だ!」「レヴィ坊も、ボロボロじゃないか!」
「エヴァさんと、坊主が?!大変だ!」
数人が駆け寄りリーシャとレヴィの応急処置を急ぐ。男達を追って馬に乗った領民達が森の中へ向かう。
「そうはさせるか!」
弓を持つ黒ずくめの男達が領民達へ向かい一斉に矢を放つ。が、全て叩き落とされてしまった。
「っ?!」
「お前たちの相手は私だ。」
目にも止まらぬ早さで男達を切り倒していく
「バルテル卿は健在か……。」
領民のひとりが呟いた。
(バルテルだと?!)(あのローガン・バルテル?!)
(まさか、『英雄の右腕』のローガン・バルテル────?!)
男達がざわつき、後退りを始めた。
「ハッ、まさかこんな辺鄙な田舎で伝説の男に会ってしまうなんてなぁ」
紫の瞳の男はそう言うと、左手で剣を握る。
「だが、伝説は過去の話しだろ!」
バキンッ!
重い金属音が鳴り響く。
男が振り落とした刃を受け止めるローガン。すると、男の胸元に見覚えのある紋章。
(これは……)
受け止めた刃を跳ね返しそのまま男に向かって切りつける。
「あ゛!ガハッ────」
左手から剣が離され、その場に倒れ込む男。仲間たちが駆け寄り男の様子を伺うと、指笛を鳴らす。
「撤収だ!急げ!!」
そうはさせるか!と血塗れの男を抱えて逃げる黒い集団を追おうとする。その時、
「お嬢様!気をしっかり!!」
娘を呼ぶ声が聞こえ、ローガンは慌てて振り返る。その一瞬の隙で男達は消え去ってしまった……




