絶体絶命
※暴力的、流血の表現があります。苦手な方はご注意下さい。
“貧しい”と蔑まれながらも、笑顔が溢れ平和なグランバル伯爵領。その姿がほんの数刻で一変してしまった────。
美しい森は焼かれ、家々からも炎が立ち上る。祭りの為に領地の皆で準備した飾りも、踏み潰され道端に悲しく忘れられている……。
涙を流すアレックスの手を握り、リーシャが微笑む。
「ハァ……行って、」
「っ!……必ず、無事でいてくれよ?」
リーシャの青白くなった頬を撫でてそう言うと、アレックスはエヴァと共に森の奥へ走り去っていった。
「なに勝手に逃がしてるんだよ。」
不機嫌そうに紫の瞳の男が顔を歪める。いつの間にか、男の仲間も数人集まって来ていた。「追え。」仲間にそう言うと一斉に森の方へと走り出す、
「ふたりを追うのは許さないわよ!」
「ハッ、『許さない』?立派なお嬢さんですねぇ(笑)」
鼻で笑う男。
「領民はみんな私たちの家族よ!家族を守るのはあたり前のことだって、パパが言ってたわ!」
「ふーん、じゃあこいつも守らないとなぁ?」
ボロボロになり横たわるレヴィの首元に男が剣先を向け、振り落とそうとした時だった。
「私の大切な息子と娘に、何を?」
剣を振り上げた男の右肩を鋭い刃が走る。
「がぁっ?!な、誰だ!」
男が振り上げた剣は地面へと落ち、右肩からは血が溢れ出ている。
「パパぁ!」
「団長!」「この野郎っ!!」
仲間の男達が振り返り父へと襲いかかる。が、父は一太刀で男達を倒してしまった。
いつも優しく穏やかな父の顔が、怒りで満ちている。
「私の大切な家族に手を出したらどうなるか、思い知らせてあげよう。」




