アレックスの葛藤
※暴力的、流血の表現があります。苦手な方はご注意下さい。
旦那様の指示で、屋敷内の出入口の確認をしていると真っ青な顔の奥様が駆け寄ってきた。
「はぁ、はぁ、レヴィ……どうしましょう!」
「奥様!走ってはお身体に障ってしまいます!どうかお休みに────」
「リリーが居なくなってしまったの!」
そう言って胸にしがみつく奥様の言葉に目の前が真っ暗になった。
『おれがずーっと守ってあげるからね』
そう言ったのに!!
不安で今にも押し潰されそうな奥様を使用人仲間に託し屋敷内を走り回ると、厨房横の裏口の扉が開いている。
(さっき見回った時は閉まっていたのに……まさか外に!)
レヴィは迷わず外に駆け出して行った。
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「俺のお嬢様から離れろ!」
肩で息をしながらリーシャの前に立ち男達に向けて剣を握るレヴィ。
紫の瞳の男が気だるそうに首を回すとボキッボキッと骨の音が鳴る。
「消せ。」
不気味なほど感情のない声でそう言うと仲間の男がレヴィに向けて弓を引く。「っ!!」驚く程の速さで矢を払い落とすと男に剣を振る。「う゛っ」小さく呻き声を上げて男が倒れる。
「お嬢様!はやくお逃げにっ!!」
「大事なら、ちゃあんと守れ」
「きゃあぁーーー!!!!!!」
「リーシャ!」「お嬢様!!」
その場から駆け出し親子の方へ向かうリーシャへ、男が胸のポケットからナイフを取り出し投げつける。ナイフがリーシャの左足脹脛に突き刺さった。
倒れ込むリーシャへ急いで駆け寄るアレックスとエヴァ。
「お嬢様っ!───この野郎っ!」
力任せに剣を振るレヴィ。剣を躱し、男はレヴィの腹を力一杯蹴りあげる。「お゛ぇ゛、くそっ、」転がるレヴィを更に執拗に蹴り続ける、男に表情は無い。
「ハァ、ふたりとも、、はやく逃げて!」
リーシャがアレックスとエヴァに向かって叫ぶ。額には大量の汗、小さな体は痛みで震えている。
「そんなことできない!」 「はやく!」
リーシャの覚悟を察したエヴァがアレックスの腕を掴み、「行きましょう!」と言う。見捨てるなんてできない!エヴァの腕を振り払おうとした時、母との最後の会話が胸をよぎる。
『必ず生きて────────』
(俺はまた、大事な人達を守れない……。)
アレックスの瞳から涙がこぼれ落ちる。




