勇敢なお嬢様と護衛騎士
※暴力的、流血の表現があります。苦手な方はご注意下さい。
(さっきのアレックス、様子がおかしかった……大丈夫かな。)
人々が集まる広間をあとにして、リーシャは屋敷内を走り回る。
「ふたりとも、どこに行っちゃったのかしら。」
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「お久しゅうございます。随分探しましたよ、赤毛姿もお可愛らしいですねぇ」
ニヤリと笑う男。その紫色の瞳をアレックスは覚えている。
(あの時の────)
「殿下っ!」エヴァが立ちすくむアレックスの手を引き走り出す。
「あーあ、どこまで逃げれるかな♪」
タッタッタッタッタッ────
村のあちこちから火の手が上がり、村の男たちが侵入者に対し応戦している。倒れた人、燃え上がる家、アレックスの目に飛び込む今朝とはまるで違う光景。
「ハァ、ハァ、殿下!しっかりなさってください!」
エヴァの声でハッと我に返る。
(そうだ、あの日誓ったじゃないか……!)
「もうすぐです!森の中に入ればっ、───キャア!!」
どこからか飛んできた矢がエヴァの左腕を掠める。
「イヴリンっ!!」
先程の男とその仲間と思われる弓を構えた黒ずくめの男。
「おや、侍女殿に当たってしまったようですね。残念。腕を掠めた程度では、楽になれないでしょうに。」
クックッと笑うと男は右手を挙げる。
「放て。」
蹲るエヴァの背中を守るようにアレックスが前に出た時だった、
「ダメー!!!!」
弓を持つ男の足に、小さな栗色がしがみついた。
「あなたたち、なにをしているの!やめなさい!!」
「リーシャ!?」「お嬢様!!」
どこからか現れたリーシャは、振り払おうとする男の足をガッシリ掴み離れようとしない。紫の瞳の男が乱暴に栗色の髪を鷲掴み引き剥がす。
「可愛らしいお嬢さん、邪魔しないでいただけるかな?」
引き剥がされた拍子に転んでしまった身体を起こして、背筋を伸ばし男たちを見据える。
「あなたたち一体どなた?私はグランバル伯爵の娘リーシャ・グランバル。私たちの土地で悪いことしないで!!」
「ハハ♪勇敢なお嬢さんですねぇ。でも、私の邪魔をするのは許しませんよ?」
男の顔から笑顔が消え、腰から剣を抜いた。
「リーシャ!離れろ!はやく逃げるんだ!!」
「さよなら、可愛らしいお嬢さん───くっ?!」
リーシャに向けられた剣が振り払われた。
「今度はなんだっ!」
リーシャの前には見慣れた黒髪が肩で息をしながら立っている。
「ハァ、ハァ、俺のお嬢様から離れろ!」
「レヴィ!」
黒い瞳が男を睨んで離さない。




