お嬢様と赤毛の少年
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バドスピーク王国の北側に位置し、隣国との境に悠々とそびえ立つ山々を見上げる場所にグランバル伯爵領は存在する。広大な領地には人よりも牛と羊が多く、温和な領民たちが平和に暮らしていた。
リーシャはグランバル伯爵家の一人娘として家族や領民から愛されてすくすく育った。
「お嬢様ー、どちらにいらっしゃいますかー?!」
(ふふ♪ レヴィに見つからないうちに♪)
リーシャの最近の日課は護衛騎士(見習い)との隠れんぼ♪今日も見つからないように『秘密の場所』へ向かう……
「いちっ・にっ・さんっ♪ いちっ・にっ・さんっ♪ ここでクルッと、きゃっ!」ポスンっ!
「あははははははは!」
バランスを崩し尻もちをつくと、どこからか笑い声が。この声は―――
「アレックス!またこっそり覗いていたのね!」
ピンクの頬を真っ赤にして木の上で笑い転げる赤毛の少年に言う。
「俺が先にいたのに、お前が勝手に来て踊り出したんだろ」
「ここはわたしの秘密の場所よ!」
「先に見つけたのは俺だ♪」
そういうとトンっと木の上から降りてきた。
「つーか、秘密の場所って……屋敷から丸見えだろ。」
グランバル伯爵の屋敷の裏手にある小高い丘。そこにある大きな1本の木の下がリーシャの『秘密の場所』。
「相変らず下手っぴだな(ニヤッ)さっきの転び方なんてWWW」
お腹をかかえて笑い出すアレックスに、
「もー!怒った!」と飛びつき小さな手を握りポカポカ叩くと「ごめん、ごめん(笑)」と笑いながらリーシャの攻撃を受け続けていた。
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アレックスは、間もなく冬がやってくる肌寒い季節に、領地の外れにある森の中で母親とふたり倒れていた。衰弱しきった親子を領民が見つけグランバル伯爵が屋敷で保護すると、ふたりは次第に回復し数週間もすると元気になった。
赤毛の親子はエヴァとアレックスと名乗り、ふたりで旅の途中だったという。これから寒くなる季節、暖かくなるまででも村に置いて欲しいというエヴァに伯爵は快く承諾し屋敷で住み込みで働くことになった。
エヴァは身なりこそは平民だったが、身のこなしにどこか洗練されたものがあり、大人たちは『きっとワケありなんだろう……』と親子のことを深く聞き出すことはなかった。
(ワケありってどういう意味?)




