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第8話:「ステージ上の解体ショー」

「あいたー」


カイトのどこか抜けたような声が響き、巨大なシャッターが軽々と吸い込まれていった。サイガや猫丸が数人がかりでびくともしなかった鉄の塊が、彼が触れた瞬間に命を宿したかのように動いたのだ。


「……運がいいなあ! さあ、早く行こうよ」


カイトはいつもの、あのバカみたいに明るい笑顔で、暗闇の先へと軽快に足を踏み出す。アキは、その背中に言いようのない寒気を感じながらも、進むしかなかった。

道はやがて二手に分かれる。


『2人まで』と書かれた、人が一人通るのがやっとの細い通路。

『4人まで』と書かれた、湿った冷気が吹き出す広い道。


アキとカイト、そしてサイガ、猫丸、クラ、ミミの二組に分かれ、それぞれが「合流地点」を目指すことになった。


アキとカイトは進んでいくと、通路が一気に広くなった。


「この前行ったラーメン屋、めっちゃ美味かったよな」


沈黙に耐えかね、アキは絞り出すように思い出話を振った。


「え? そんなんあったっけ……あ、あそこか。確かに美味かったよな、味とか覚えてないけど」


カイトは後ろ向きに歩きながら、屈託なく笑う。だが、その背後には剥き出しで高速回転する、直径一メートルはあろうかという巨大な破砕用歯車が迫っていた。


「あぶない!!」


アキの叫びは、鈍い破壊音にかき消された。



――バリッ、ギチギチギチィィッ!!



カイトの袖が、そして腕の肉が、歯車に噛み込まれる。だが、そこから流れたのは赤色ではなく、鼻を突く異様なオイルの匂いだった。


「……お前、その腕……?」


歯車に巻き取られ、ボロ雑巾のように引きちぎられた袖の奥。そこには、火花を散らす鈍色の金属フレームと、複雑に絡み合う配線が剥き出しになっていた。


カイトは、歯車に噛んだままの自分の腕を、無造作に引きちぎってせせら笑う。


「あーあ、バレちゃったか。……じゃあ、殺すしかないね」


歪な内骨格を露わにした「カイト」が、落ちていた鉄パイプを拾い、獣のような速度で襲いかかってきた。




その頃、別ルートを進むクラたちは、暗闇に佇むピエロ(ジョーカー)と遭遇していた。


「……動かない?」


サイガが銃を構えるが、ピエロは微動だにしない。だが、その影からズルリと這い出してきたモノを見て、全員の思考が停止した。


それは、胴体以外を無惨に切断・改造され、天井からのワイヤーで吊るされたレナと締旗だった。


「レナ……さん……?」


白目を剥き、機械的な動きで迫る元・仲間。背後からは「うさぎ(ラピス)」の重い駆動音。


「逃げろッ!!」


サイガの怒号で脇道へ逃げ込むが、幼いミミが瓦礫に足を取られ、無様に転倒した。


「嫌、来ないで……ッ!!」


追いついたうさぎが、ミミの小さな体を軽々と掴み上げ、壁に向かって全力で投げ飛ばした。



ドォォン!!



凄まじい衝撃。だが、悲劇はそれだけでは終わらなかった。

投げ飛ばされたミミの背後。壁からは、錆びついた鋭利な太いパイプ管が、槍のように突き出していたのだ。



――グチャリ。



「あ……、……っ」


逃げ場のない速度で、パイプがミミのみぞおちを貫通した。

背中から突き抜けた鉄管の先から、熱い鮮血がドロドロと溢れ出す。ミミは壁に縫い付けられたまま、必死に自分の腹から生えた鉄を掴もうとするが、指先は血で滑り、力が入らない。


「ミミッ!!」


「……だめだ、もう……行けッ!!」


サイガは血涙を呑み、息絶え絶念とする少女を捨て、残った仲間を連れて狭い瓦礫の隙間へと滑り込んだ。


アキは執拗に追ってくるカイトを、ロッカーや棚をなぎ倒して必死に足止めし、ようやく広いステージのある中央広場へと辿り着いた。合流したサイガたちと、肩で息をする。


だが、広場の照明が爆ぜるように一斉点灯した。

そこには、メイメイ、ラピス、バブルス、レオン、ポーク、ジョーカー、ウィスカー……そしてカイト。全アニマトロニクスが勢揃いし、こちらを凝視していた。


(……終わった。今度こそ、終わりだ)


全員が死を覚悟し、目を閉じた、その時。

アニマトロニクスたちが、一斉にカイトへと向き直った。


「……え?」


凄まじい駆動音と共に、全個体がカイトへ襲いかかる。



『警告:ステージ上の部外者を排除します。防衛システム作動。スクラップを開始します』



無慈悲な解体作業。カイトが仲間であるはずの機械たちに粉砕されていく隙を突き、アキたちは近くのダクトへ飛び込んだ。


「ここなら……っ! 早く、滑り込め!」


一列になって、暗いダクトの中を滑り落ちるアキたち。

だが、彼らは気づいていなかった。


その入り口の裏側に記された、錆びついた警告表示に。



【警告:立入禁止。このダクト内には大型ゴミを粉砕・切断する強力な回転カッターが設置されています。人が入れば即座に肉片へと成り果て、生存の可能性は皆無で

す。絶対に中に入らないでください】



(第8話 完)



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



クレジット:キャラ提供



光暗クラ  このキャラは@banirakokoaさんに作ってもらいました!!

ミミ    このキャラは@gekioko-punpunmaruさんに作ってもらいました!!

猫丸    このキャラは@nekomi611さんに作ってもらいました!!

兵司サイガ このキャラは@aisu1452さんに作ってもらいました!!



四名ともありがとうございました!!

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